【HQ】国見くんをからかいたい。【国見英】

からかいたい、にじゅうなな ページ28

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そしてドリンクを配り終わり、及川さんの所へ戻ると、「いつから国見ちゃんのものになったの！」なんて言われて。


顔を赤くしたままでいると、国見くんがひょいと入ってきて口を開いた。

 
「さっきです」


 
「ちょ、国見くっ」
 


「だから、近づかないでくださいね。及川さん？」
 


言いたい放題の国見くんの背中をぽかぽか叩いて、及川さんに「ち、違いますから！」と大きな声で言う。


けど、及川さんは「へぇ？」と楽しそうに私の手を取って「でもさ」と笑う。
 


「俺主将だから。Aちゃんと話すこと沢山あるんだよね」
 


二人の間に火花が散るのが見えて、私は慌てて止めに入った。
 


「ちょ、ちょ、二人とも！監督が話あるって言ったので戻りましょ！」

 

渋る二人を連れて監督の元へ戻ると、
　



「いきなりだが来週烏野との練習試合がある」




と告げられて、周りがどよめいた。私は烏野？と首を傾げつつ、監督の言葉に国見くんの顔が険しくなるのが見えて、何故か胸がずきりと痛んだ。



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部活が終わって教室に二人で戻る道中。
私はさっきのことが気になって遠慮がちに切り出した。


 
「国見くん、大丈夫？」
 

「……何が」
 


「国見くん、とっても悲しそうな顔してた、から」

 

国見くんは私の言葉に少し息を呑むと、サッと視線を下に落として、苦しそうに吐き出した。

 

「……俺、そんな良い人間じゃないんだよ」


 
その言葉の意味は分からないけど。でも、国見くんのその表情になんて声をかけて良いか分からなくて。




分からない、分からない、から。
その日。私は国見くんを連れて、はじめて授業をサボったのだ。




「行こう、国見くん！」



「……は？」

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