My Precious 2【TH】

after 夏 04 ページ38

「…わ、タピオカ屋さん、」


キャリーケースをガラガラ引いて、空港で受け取ったWiFiを鞄に仕舞いながら、タピオカ屋さんの列に並ぶ。


大きな空港に、たくさんの人。

飛び交う言葉は、韓国語。


そう、ここは日本ではなく韓国。


――ついに、韓国にやって来てしまいました。


【着いたらまた連絡して！〇〇ってお店まで、タクシーで来てね！】


そんなメッセージを送ってくれたのは、テヒョンさんではなく、今回の旅の協力者の、ジミンさん。



この渡韓はサプライズなのである。

いつもは私がテヒョンさんから受けているサプライズ訪問を、私がやってみたい。そんなお願いをすると優しすぎる仏…もとい天使ジミンさんが、テヒョンさんの空いている日を確認して連絡を入れてくれていたのであった。感謝。


先週急に浴衣デートのために日本に来てくれたテヒョンさん。家に来た時に準備中のキャリーケースに気づかれるかとヒヤヒヤしたけれど案外気付かれず、サプライズは順調に進んでいる。





『あの、このタピオカ、三つ下さい』


韓国語の授業、否ほぼテヒョンさんとの会話で覚えた韓国語を駆使して購入したタピオカを手に、きちんと国際タクシーを捕まえてお店の場所を伝える。



【A〜】

【今なにしてる？】

【ぼくは今日から3日何もなくて、暇だよ】

【だからジミナとご飯来てる】


タイミングよくテヒョンさんから送られてきたメッセージ。ジミンさんとのツーショット写真も送られてきて、口元が緩む。


「ジミンさん、思ったより演技派だな…」


テヒョンさんの横で通常運転な感じでピースサインを作るジミンさん。バレずに上手くいっているみたいだ。




「ふふふふふ、どうやって驚かそうかな」



私の不気味な笑い声と独り言に、タクシーの運転手さんが苦笑いした。







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タピオカとキャリーケースで両手が塞がって、上手く写真が撮れなかったけど。少しだけブレてしまった、今現在二人が居るお店の外観写真をテヒョンさんに送り付ける。



【え？】


「あはは、びっくりしてる」



すぐ既読が付いて、焦ったような短い文章が幾つも続いて送られ来る中、お店の人に連れられて、一番端の個室までやって来た。


コンコン、と扉をノックすると、どうぞ〜という日本語のジミンさんの声。



テヒョンさんは、一体どんな顔をしているのだろうか。


そんな期待を胸に、扉を開けた。

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