My Precious 2【TH】

63 ページ13

あの後、しばらくしてからテヒョンさんから「会おうよ」ってカトクが入った。私は素直に嬉しくて、すぐにはいって返事を送って、もうルンルン。


個室のお店を予約してくれたみたいで、「ここに来てね！」と送られてきた位置情報にびっくりした。


「なんだ…この高そうな店は…。」


入るのを躊躇してしまう黒い外観のお店。韓国料理店だろうか？そっとお店の中に入ると、優しそうなお姉さんが声をかけてくれた。


「いらっしゃいませ。おひとり様でよろしいですか？」
「あ、あの…待ち合わせをしていて…」
「あぁ、かしこまりました。ご案内致します」


待ち合わせ、という単語を聞いただけで察して案内してくれるお店なんか初めてだ。高いお店って、こんな所から違うのか。


一番奥の扉の前で、こちらになります。と一礼していなくなってしまったお姉さん。そっと引き戸に手をかけて中を覗き込むと、先にメニューを見ていたテヒョンさんが顔を上げた。



「A！」


あ、さっきの握手会とはちょっと違う笑い方だ。


テヒョンさんがメニューを置いて、両手を広げる。


…こっちにおいで、ってこと？


そう捉えた私は、ちょこちょこと駆け寄ってその腕の中に飛び込んだ。ふわっと、テヒョンさんのつけている香水のいい匂いがする。


「ん〜〜〜Aだ〜！やっぱり握手だけじゃ足りない」


へへ、と嬉しそうな笑い声とテヒョンさんの心臓の音になんだか安心する。夢じゃなくて、テヒョンさんが、本当にここにいるんだなあ。


「会いたかったです…」
「んふ、僕も。2週間って長いね」


それから、色んな話をした。ジミナも改めてAに会いたいって、と言われて焦ったり、私は菜々花さんのことを話したりした。菜々花さんのことを聞いたら、テヒョンさんは怒るかなあと心配していたけど、そっかあと優しく頭を撫でて、大丈夫だよ。と言ってくれた。


「Aが信頼してる人なら、僕もその人を信じるよ」


テヒョンさんは無邪気で可愛らしい一面もあるけれど、こういう何もかもを包んでくれるような包容力もある。



それにすごく安心するし、好きだなって思うんだ。

64→←62

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す