94、白い生物 ページ47
「怨霊?そんなの居るわけ…」
自分が魘されていたせいで兄にも恐怖が移ったのだろうか。
Aは呆れながら国木田の指の先を見る。
そして、固まった。
「な……なにこれ?」
確かに居た。
フワフワと浮いている………白い生物が。
全身は雪のように真っ白。
象のように長い鼻と、猫のようにフワフワした毛並み。牛のようにチョコンとある尻尾。
不思議な生物は、短い足を賢明に動かして空中をフワフワ飛んでいた。
その様子をAは不思議そうに見つめ、国木田はガタガタ震えている。
「触ってもいいかな?」
「待てA!いいか、慎重に…慎重にだぞ」
「お兄ちゃん怖いの?」
「こ、こここ怖い訳あるか!」
俺は武装探偵社員だぞ、と言っているが、明らかに腰を抜かしている。
「ふふっ、お兄ちゃん幽霊とか苦手なんだぁ」
大声で否定する兄を無視して、空中を浮いている生物を掴む。
案外大人しいな、と思っていると、白い生物と目があった。
「この子…」
その時ふと、宝石のように綺麗な水色の目をしていることに気づく。
キュルンとした丸い目がパチリと瞬きする。
「……かわいい〜!」
目を輝かせて言ったAの発言に、国木田が、は?と漏らした。
「ねぇお兄ちゃん!この子めっちゃ可愛いよ!見て、この綺麗な水色の目!」
「ぎゃあああ!!急に近づけるな!正体不明の生物ほど怖いものは無い!」
ぐいっと白い生物を近づければ、兄は飛び跳ねて後ろの壁まで後ずさる。
「それに見ろ!歯がギザギザしているぞ!食べられるかも知れないぞ!」
「こんな可愛い子がそんなことする訳ないって。ね?」
それに応えるようにしてスリスリと顔に頬ずりする生物。なんて可愛いのだろう。
「兎に角!まだ深夜だし、これからどうする」
「二度寝?」
「出来るか!…怨霊かも知れないんだぞ」
・
「あっはははは!」
翌朝、探偵社に太宰の笑い声が響く。
国木田とAは揃って目の下に隈ができていた。
「はぁ、こんなに笑ったのは久しぶりだよ……それで?国木田くんはその後一睡もしなかったのかい?」
「…はい。お兄ちゃんが怖がるせいで私も眠れなくて。だってあの子が動くだけで叫ぶんですよ?」
再び太宰が笑う。
「国木田くんが怖がりなのは知っていたけど…ぷぷっ」
「それ以上笑うな太宰!」
国木田の額に青筋が浮かんだ。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時