85、兄からの頼み事 ページ38
『あー今日も良い天気だなぁ』
探偵社の窓から青々とした空を見て時間を潰す。
自分は社員ではないため雑用を任されているのだが、それも簡単なものだからすぐに終わって暇になってしまう。
「A、ちょっといいか」
ぼーっとしている中、兄の声に呼ばれて振り返る。
「どうしたの?」
「お前に"おつかい"を頼みたい。それと、あの自 殺野郎を連れ戻せ」
「おぉ!」
やっと自分に新しい任務を任されたことに、心の中でガッツポーズをする。
「自 殺野郎って太宰さんのこと?」
「他に誰がいるんだ…。
彼奴また仕事を放ったらかしおって…」
国木田は呆れたように眉間を押さえた。
相変わらず苦労してるなぁ、と同情する。
「了解、"おつかい"は何を買ってきたらいい?」
「乱歩さんのお菓子を大量に買ってきてほしい」
「なるほど。どんなお菓子が好きなんだろ…?」
「俺に聞くな、乱歩さんに直接聞きに行け」
口調は厳しいが、兄の顔は穏やかだ。
「はーい。お兄ちゃんも仕事頑張ってね」
当たり前だ、と眼鏡を押し上げる兄を見て、クスリと笑みが漏れる。
『もう素っ気ない態度じゃない』
ちゃんと名前を呼んでくれる、自分のことを見てくれる。
本当の兄妹のように話せることが嬉しくて、その喜びを静かに噛み締めた。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時