84、幼女と男の会話 ページ37
横浜の中心部にある黒いビル。
それは周りのビル群より遥かに背が高く、まるで天を突き破るかのようにそびえ立っている。
そんなビルの最上階に、男は居た。
「ねぇエリスちゃん、このドレス着てよぅ、一瞬、ちょこっと!」
「嫌よ!リンタロウ気持ち悪い!」
「あぁ、脱ぎ散らかしちゃ駄目じゃあないか、一生懸命選んだのだよ?」
「綺麗なドレスは嫌いじゃないわ。リンタロウのその必死さがイヤ」
「そんなぁ」
蒼色のドレスを持って、半裸の幼女を追いかけている男。
この光景を一般人が見たら、誰もが三秒以内に110番通報することだろう。
しかしここは裏社会を取り仕切るポートマフィア本部であり、幼女を追いかけている男___森鴎外はその首領。
故に通報する人は居ないし、ポートマフィアの者達はこの光景に見慣れてしまっているのだ。
「お願いだよぉエリスちゃん。何でもお願い叶えてあげるから」
その言葉に、エリスは立ち止まってピクリと眉を動かした。
そしてサッと森からドレスを奪い取ると着始める。
「うんうん、すごく似合っているよ!それで、エリスちゃんのお願いは何かな?」
「私、もう一度あの子に会いたいわ!」
「あの子って…もしかして飲食店で会ったあの金髪の少女かい?」
「ええ、私あの子に興味があるの。もう一度話してみたい!」
エリスのお願いに森は少し考え、微笑んだ。
「そうだねぇ、私も気になっていたのだよ…」
一瞬、森の瞳から光が消える。
「"あの人"にとても似ていたからね」
「やっぱりそう思うわよね、"あの人"にソックリだった!」
「その子については、いずれ必ず会わせてあげるよ」
「えぇー、今がいいわ!今すぐ!」
駄々をこねる少女に困り顔をする森だが、その表情はどこか嬉しそうである。
「大丈夫だから、必ず会える」
「理由がないわ」
「理由、か。
…あの子の名は、Aと言ったね」
森はあの時会った少女を思い出す。
金色の髪に、特徴的なエメラルドの瞳。
「あの少女は"此方側の人間"だから、かな」
いずれポートマフィアに入ることは約束されているのだから。
少女の運命を決める歯車が、音を立ててゆっくりと動き始める。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時