82、太宰の疑問と絶叫 ページ35
「ねぇ国木田くん、昨日のことなんだけどさ」
Aが医務室に連れて行かれた後、太宰は国木田に声をかけた。
いつもより真剣な太宰の声に、国木田は作業していた手を止める。
「Aちゃんの両親には会ったことないの?」
「あぁ、ないな」
「一度も?」
「一度もない。俺の父なら会ったことはあるかも知れんが…」
国木田の言葉に、太宰は頬杖をついて反応する。
「ふぅん、そう…」
「何故そんなことを聞く?」
「いや、ちょっと気になっただけだよ」
「お前がそれを言うときは何かしらありそうだがな…」
一点を見つめて ぼうっとする太宰に国木田がジト目を向けるが、当の本人は心ここにあらずといった感じだ。
『Aちゃん…』
実をいうと太宰は、少女に初めて会った時から思っていたことがあった。
可愛い、美しい、それよりも先に生まれた感情。
一時は、少女自身が国木田の妹だと名乗っていたため気のせいかと思っていたけれど。
『あの子の顔、なんか見覚えあるんだよなぁ…』
と、太宰が思った次の瞬間。
「あぁぁぁああ!やめて、それだけは無理!!やめっ、や、ぁぁぁああ!」
医務室の中から少女の絶叫が響いてきた。
言うまでもなくAのものである。
「A、Aちゃんんん…」
谷崎は何かに魂を抜かれたように白目をむいて机に突っ伏した。
「やぁぁぁああ!死んじゃう、死んじゃ、ぁぁぁ!この馬鹿医者ぁぁぁぁ!!」
少女の悲鳴を聞きながら、一同は心の中で手を合わせる。
そう、探偵社にいる女医は大の解体好きであり、切り傷やかすり傷を負ってしまえば最後、地獄を見ること確定なのだ。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時