51、銃弾に怒りを込めて ページ4
「俺の父さんは、練習場近くで起こった殺人事件の犯人にされた!!」
直哉は苦しそうな表情で叫ぶ。
「確かに、誤認逮捕だと分かった後は多額の金を支払われたさ。それこそ父さんと僕、弟の三人で暮らしていくには充分過ぎるほどに」
直哉は目を伏せる。
「でも、父さんが逮捕されたっていう偽の噂は広まり続けた。
大会も勝ち進んで、ファンも増えてきていたのに、その頃から誹謗中傷が絶えず父さんの耳に入るようになった」
「誹謗中傷が酷くなっていたある日の朝、僕が起きると、父さんはリビングで首をつって死んでた。
……あの苦しそうな顔、今でも覚えてる」
国木田はただ静かに聞いていた。
そして暫くの沈黙の後、口を開く。
「その話を、今初めて聞いた。
俺の判断ミスが原因で、本当に辛い思いをさせてしまったこと、謝って許されることではないが……本当に申し訳なかった」
一度目の謝罪の時より、もっと深く、国木田は頭を下げた。
一向に顔を上げる素振りを見せない。
その姿勢から、雰囲気から、表情から、本当に反省しているのだということはその場に居る誰もに伝わった。
筈だった。
「顔、上げろよ」
その言葉を合図に、国木田はゆっくりと顔を上げた。
その瞬間
パァン!!
廃ビルに鼓膜の破れるような鋭い音が響き渡った。
それは紛れもなく、直哉が持っている拳銃から放たれた音だ。
「ぐっ…」
うめき声を上げたのは国木田だった。
左肩がみるみるうちに赤く染まっていく。
ボタリ、ボタリ
赤黒い血がコンクリートの床に落ちて広がる。
洗脳されていたAに刺された背中と、直哉に撃たれた左肩。
出血の量は酷く、国木田はもう限界だった。
「この場所を覚えていたってことは、ここで何があったか覚えてるってことだよなぁ?」
直哉の顔は怒りに満ちていた。
「ここは父さんがよく来ていた古いボクシングの練習場だ。
そして、父さんがお前に逮捕された場所だよ!」
直哉は再び拳銃を構える。
「何百回謝られたって絶対に許さない!
僕らの人生は、お前のせいでめちゃくちゃになったんだよ!!」
直哉は怒りに歪んだ顔で国木田を睨むと、引き金に指をかけた。
「死ねぇぇぇ!」
バンッッ!!
二回目の銃声が、廃ビルにこだました。
179人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時