77、ずっと知りたかったこと ページ30
「Aが家族になってから、俺は父にこう言い聞かされた」
・
「独歩、Aが本当の妹じゃないことは、本人には内緒だ。いいね?」
「どうして言っちゃだめなの?」
聞き返すと、父は戸惑った。
どこか苦しそうな顔をして、何かを悔やんでいるような表情を見せた。
「やっぱなんでもない…約束するよ」
「ありがとう。…色々と我慢させてすまない」
・
「内緒だと言われてから、Aとどう関わったら良いのか分からなくなってしまってな…」
Aは目を丸くして、ぽかんと口を開ける。
「父が亡くなったとき、本当のことを伝えるか凄く悩んで、一人ではどうしようもなかった。…少し、考える時間が欲しかった」
Aに本当のことを伝えられない気まずさと、教師になりたかったこともあって、家を出た。
「Aと距離を置こうと思ったんだ。気づいたら、四年も年月が経っていて…」
そう言った国木田は、申し訳無さそうな表情を見せる。
これが、真実。
少女が一番知りたかったこと。
「なんだ…」
Aがぽつりと呟く。
瞳に水が溜まるのを感じる。
「そんな、ことだったのか…」
ほろり、涙が頬を伝った。
それは次々に止めどなく溢れてくる。
「おい!?な、泣くことないだろう!?」
安心感と、本当のことを知れた嬉しさとが込み上げてきて。
『私のこと、嫌ってた訳じゃなかったんだ』
涙で濡れた顔に、柔らかな笑顔が浮かんだ。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時