75、家族になった日 ページ28
「今から話すことは、お前にとって辛いことだろう」
その言葉にAは何も言わず、ただ下を向く。
「だが、いつかは知ること。知らなきゃいけないことだ。だから…聞いてほしい」
そう言うと、Aは顔を上げて国木田の目を見つめて頷いた。
「…分かった」
深呼吸を一つする。
海風が頬を撫で、潮の匂いが鼻をぬける。
「お前と初めて会った日のことは、今でも覚えている」
心なしか、国木田の声は震えていた。
「あの日…まだ幼かったお前を連れてきたのは、俺の父だった」
国木田は空を見つめる。
Aと初めて会った日、家族になると伝えられた日。
あの日も、今日と同じような夕暮れだった。
「帰ったぞ、独歩」
「おかえりなさい、父さん！」
父がいつものように鞄を床に置く。
その時、国木田は父の後ろに隠れている人影に気づいた。
「父さん…その子は？」
父の後ろからゆっくりと姿を現したのは、わずか三、四才ほどの少女。
その子はふわふわした金髪に、大きなエメラルドグリーンの瞳を瞬かせる。
「あぁ、気づいたか。この子はな…」
折れてしまいそうなほど細い手足に、ひょろりと痩せ細った体は、今にも倒れてしまいそうで。
さらに、少女の両足は裸足で
___血まみれだった。
「今日から俺たちの家族になる子だ」
「…か、ぞく？」
驚いて少女を凝視すると、その子は不安げな表情で父のズボンをギュッと握った。
「道端で倒れていたところを保護したんだ。行く宛も無さそうだし、独歩が良ければ、これから家族として一緒に暮らそうと思うんだが…」
驚きと、夢ではないかという不思議さとが混じり合って、理解が追いつかなかった。
そして気づいたときには、
「…はい」
ほとんど無意識に頷いていた。
これが、国木田とAの最初の出会いである。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです！これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (
レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです！！この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2022年12月18日 22時
