74、信じない、信じたくない ページ27
ずっと信じていたものが、壊れていく音がした。
「う、そ…だよね」
「嘘じゃない」
「本当に…言ってるの?私とお兄ちゃん、兄妹じゃないの?」
「あぁ」
自分は今どんな顔をしているだろう。
疑問と、絶望と、嘘だという否定が入り混じった表情で目の前にいる兄を見つめる。
そう、自分にとってはたった一人の家族で、兄なのだ。
「だって私、小さい頃の記憶あるよ?お兄ちゃんと暮らしてた時の記憶!」
「…あぁ」
ただ頷くだけの兄に、怒りが爆発した。
「ッ…嘘だ!なにかの間違いだよ!!お兄ちゃんの妹じゃないなら私は…私は…!」
頭を抱えて蹲る。
今までの記憶を思い出せば、必ず兄がいるのだ。
亡くなってしまった父、そして兄と自分の三人で食卓を囲んでいたあの日が今も鮮明に蘇る。
だから、本当の兄妹じゃないなんて何かの間違いで…
「A、落ち着け」
国木田の冷静な声もAには届かない。
「嘘だよ…嘘だ。そう、私のことが嫌いなんでしょ?だから今まで私のこと避けてたんだよね!?ずっと連絡が取れなかったのも、私のことが嫌いだからでしょ!?」
「それは…」
「そんな嘘付かないでさ、本当のこと話していいよ!私のことが嫌いならそう言ってくれて構わない。だから私の本当のお兄ちゃんだって言って。ねぇ、言って!」
自分でもおかしくなっていると分かる。
今までは嫌われていることを恐れていたけれど、それよりも全く想像していなかった真実を受け止められなくて。
それなら、嫌いだと言ってくれた方が良かった。
「A!!」
国木田の叫び声に、辺りは水を打ったように静まりかえる。
Aは肩をびくりと震わせ、ゆっくりと国木田を見る。
「…どうして、私を避けていたの?」
その声は震えていた。
「…何度も何度も連絡したのに、返事をしてくれなかったのはどうしてなの…?」
瞳にいっぱいの涙を溜めて尋ねるA。
その苦しそうな表情を見て、国木田は漸く気づいた。
『俺は…今までずっと、我慢させていたのか』
ゆっくりと目を閉じ、開ける。
国木田は口元だけで微笑しながら言った。
「…ちゃんと説明する。だから落ち着け」
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時