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70、泣きべそ少女と赤髪の男 ページ23

男、中原中也が任務を終えた直後のことだった。
路地裏に不釣り合いな少女の声が響いてきたのだ。




『この辺りから聞こえてきたよな』




革靴の音を響かせながら進むと、人の気配がした。
探してみるが、姿は見えない。




「おい」




人の気配がする方へ声をかける。
大方、自分が近づいたときの音に驚いて何処かに身を潜めているのだろうと思った。




「そこに居るのは判ってンだ、出てこい」




少しの沈黙が流れる。
そして、次に現れたのは




「ごろざないでぐだざいいい…」




「はあっ!?」




子鹿のようにぷるぷるした足と、涙でぐちゃぐちゃになった顔。
現れたのは一人の少女だった。




「手前なんつー顔してんだよ!」




「ごろざないでええええ…」




突然の命乞いをしてきた少女に、赤髪の男は盛大なため息をついた。




「殺すわけねぇだろ!」




「…ほんと?」




「手前を殺す理由がどこにある」




「…確かに」




安心したように泣き止んだ少女をまじまじと見つめる。
ふわりとした金髪にエメラルドグリーンの瞳。吸い込まれそうなほどに美しい容姿だと思った。




しかしそれと同時に何かが引っかかる。




『この顔、どっかで…』




「ねぇ、大丈夫?」




少女の声でハッと我に返る。




「手前ェ、なんでここにいる。ここら一帯はポートマフィアの縄張りなんだぞ」




敢えて冷たい口調で言い放つと、少女の顔が分かりやすく不安に染まった。
ポートマフィアの苛烈さは有名だ、噂程度になら誰でも知っている。




「ごめんなさい、道に迷っちゃって」




「…そーかよ」




付いて来い、そう言って歩き出すと、後ろを小走りで追ってくる。
暫くの間、二人の足音だけが響いた。




「ねぇ」




ふと、少女がこちらを見る。




「あなたも…ポートマフィアの人なの?」




鈴を転がしたような声が尋ねる。
中也は前だけを見て、立ち止まることなく答えた。




「そうだ」




自分に呼びかけられただけで泣きじゃくるほどの泣きべそ少女。
ただの構成員じゃなく、ポートマフィアの幹部だと言うのは辞めておいた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時

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