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61、きっと気の所為 ページ14

「あぁぁああ!!」




手で宙を掻きながら飛び起きた。
生き物のように跳ねる心臓と全身から吹き出す汗。




「……夢、?」




荒い息を整えながら部屋を見回すと、兄と暮らしてるいつもの社員寮だった。




とにかく落ち着こうと、キッチンに行ってコップに水を入れる。
ゴクリと喉を上下させれば、冷たい液体が喉を通る感覚に、だんだん意識がはっきりしてきた。




「どうしてあんな夢……」




直哉が出てきた。
暗闇のせいで顔は見えなかったけれど、声は確かにあの人だった。




「もしかして、まだ異能が解けてない…?」




もしも、まだ操られているとしたら。
再び心臓が鳴り出す。




『いや、それはないな。太宰さんが無効化したところ見たもん』




不安に思っていることがあると、それは時に夢として現れる。
いつの日か聞いた言葉。
きっとそれだ。
直哉に操られていた恐怖、兄に捨てられたのではないかという不安が合わさって夢として現れただけ。




自分の布団を見つめる。
少し間隔をあけた隣には兄が寝ていて、規則正しい寝息が聞こえくる。
起きる気配は全くない。




さっきの叫び声を聞いても起きないとは、直哉の事件で相当疲れたのだろう。




兄の枕元に静かに座る。




『直哉に乗っ取られていたときの記憶は曖昧だけど』




あの時、助けに来てくれなかったら自分はどうなっていたのだろう。
考えるだけでゾッとする。




「お兄ちゃん、お疲れ様。助けに来てくれてありがとう」




小さい声でそう言って布団に戻る。




『君は捨てられたんだ』




『お前のことなんて嫌いなんだよ』




蘇ってくる声。
夢で言われた言葉は気の所為だと言い聞かせながら、Aは再び眠りについた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです!これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです!!この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください!応援してます!!!! (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年12月18日 22時

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