59、二人だけの会話 ページ12
乱歩の推理披露が終わった後、既に時計の針は19時を指していて、
帰りの準備を終えた人から帰宅していいとのことになった。
「乱歩さん、一つ聞いても？」
「なんだ、太宰」
ほとんどの社員が帰り、残っているのは二人だけ。
太宰と乱歩は静かに向き合っていた。
太宰が口を開く。
「何故Aちゃんに伝えなかったんです？横谷直哉の弟、誠が家を燃やした犯人だと」
「そんなこと教えて何になる。家が無くなったのは変えようのない事実だ。それを掘り起こしたところで、彼女の感情は怒りと絶望で埋め尽くされるだけだろう」
乱歩は口の中で飴を転がして噛み砕いた。
ガリッという音が室内に響く。
「それより本題に入ったらどうだ」
「本題？」
太宰は何のことか分からないと云うように首を傾げる。
その表情から本当の感情は読み取れない。
「太宰に限って、わざわざこんなことを僕に聞くわけ無いだろう」
「……ふふ、やはり乱歩さんにはバレますか」
「当たり前だ。
聞きたいのはAのことだろ？」
「そうですね…」
少しの沈黙の後、太宰はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「国木田くんとAちゃん、
何かありますよね」
その言葉に、乱歩は片目を少しだけ開けた。
そして
「太宰にしては随分と言葉を濁すな」
言いながら、乱歩はお菓子を口に放り込む。
「ま、国木田がAに何かを隠しているのは確かだね。
けど、いずれ話すよ。
国木田は嘘をつけない、正直者すぎるのは太宰も知っているだろう」
その答えを聞いた太宰はふっと笑みを漏らす。
「そうですね。聞きたいことはそれだけです、ありがとうございました。…では」
コツ、コツと太宰の足音が扉へ向かう。
探偵社の扉が閉まり乱歩一人だけとなった社内に、暫くの間静寂が流れていた。
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ぺぽん(プロフ) - めろ。さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけて飛び上がるほど嬉しいです！これからも楽しく読んでいただけるように頑張りますね🙌 (2023年1月15日 5時) (
レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - 国木田くんの夢小説あまり見かけないのでこの作品に出会えて嬉しいです！！この作品大好きなのでこれからも更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2023年1月14日 23時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2022年12月18日 22時
