拝啓神様…ちょっとチートすぎやしませんか？【ワールドトリガー】 (ページ12)

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第10話　迅悠一ページ12

迅「いやぁ、ごめんね。引き留めちゃって」

「いえいえ、暇してたんで」

現在、迅とぶつかったあたりの近くにある喫茶店にやってきている。

普通に向かい合って座ってるわけだけども、今の時間なかなか人がいない。

つまり、ほぼ二人っきりというわけで、まずい話を聞かれる心配もなさそうだ。

迅「まず、自己紹介しよっか。おれは迅悠一。ボーダーの実力派エリートだ。よろしく」

「木霊林檎です。どうぞよろしく」

と、二人共の簡単な自己紹介が終わったあたりで、私と迅が注文したコーヒーが運ばれてきた。

そのコーヒーにティースプーン5杯分くらいの砂糖を入れる。

迅「甘党なんだね」

「見えてたのにわざわざ言うのは面倒じゃないの？」

迅「…！…君、本当に何者なの？」

「ちょっと訳ありってだけ。で、ちょうどよかった。私ボーダーに入りたいんだけど、どうやって入るかわからなくてさ」

迅「話が早くて助かる、というべきなのかな？」

さぁ？

貴方の思っていることと、私が思っていることが同じとは限らない。

私はボーダーに入りたいといっただけ。

彼は私の力が必要なだけ。

それだけだ。

でも、理外は一致している。

本当は忍田さんの一派に加わりたかったけど、この際、楽しめそうなら玉狛一派でもいいや。

とりあえず、二回目の人生なんだ。

ちょっと今までと違う選択をしたって誰も何も言わない。

誰も何も言ってくれない。

そういうものだ。

迅「そっか。じゃあ一つ聞いていい？なんでボーダーに入りたいの？おれにはボーダーに入らないって未来も見えてたんだけど。まぁ、だからダメもとで声をかけたわけだけどね」

「昼間でよかったですね。夜だったら不審者ですって警察呼んでましたもん。で、理由でしたっけ？」

コーヒーを一口すする。

丁度いい甘さが口内を満たしていく。

「私は面倒なことは嫌い。人ともあんまり関わりたくないし、できることなら家から出たくないんだけど」

迅「うん、典型的な引きこもりだね」

「そういう合いの手いらないから。…ただ、空っぽ何だって。私。だから中身が欲しいなぁって」

迅「…」

「死んだときに、ああ、無駄な人生だったなぁ。なんて思いたくないんだよ。せめて、何か一つだけでもいいから生きててよかったって思えるものが欲しいんだ。この前それを痛感しちゃってさ～」

神様(笑)の言葉は地味に私のライフを削っていたのである。