愛を込めて 2 ページ4
「さて、お前達も数々の試練を乗り越えながら3年生になった訳だが...。雄英は残り一年、今までとは比べ物にならないほど高く厚く、頑丈な壁をお前達に課す。ボサッとしてたらすぐやられるぞ」
そう話すのは私達の担任であるイレイザーヘッドこと相澤消太先生。前の時、彼は私が卒業後も何かと面倒を見てくれた大切な人だ。なのに、ろくに連絡も取らず勝手に死んだ私のことを、先生はどう思ったのだろうか。
「花霞...言ってるそばからお前は...。いくら威力も汎用性も高いお前の個性だろうと、卒業できるか危うくなるぞ」
「う、ごめんなさい...」
みんながドンマイという目でこちらを見てくる。
お茶子ちゃん、三奈ちゃん、響香ちゃん、飯田くん、切島くん、上鳴くん。そうだ、皆だって彼を喪った悲しみを堪えて私を支えてくれていたのに。
どうしてそのことに、気づかなかったのだろう。
「という訳で、これからは午前中にもヒーロー学が入る。体力作り怠ってると偉いことになるぞ。気を引き締めて臨むように」
「「「はい！！」」」
あ、また話聞いてなかった。
時は変わって３限目、私達は体操服を着て、運動場γに集まっていた。
「相澤先生！何故コスチュームではないのでしょうか！」
手を高くあげて質問をする飯田くん。ああ、彼も相変わらずだ。
「コスチュームの補助機能は重要だが、それに慣れすぎると不測の事態に対応出来なくなる。出先で何か起こったとき、コスチュームを着るなど悠長なことはしていられないからな」
特に爆豪、お前の切り札である最大威力の攻撃をノーリスクでだすには、コスチュームが不可欠だろ。相澤先生がそう言うと、勝己くんは大きく舌打ちをした。
「...切り札なんざなくたって、判断力と技術を身につけりゃいいだろうが」
不機嫌そうだけれど、サラっとそんなことを言ってしまう勝己くんはとてもかっこいい。努力することを面倒がらず、留まることの知らない上昇思考。でも勝己くんのそれは、死という最大の壁によって止まってしまった。
「勝己くん、もっと強くなって、絶対ヒーローになろうね」
「当たり前だろ、お前もモブ共も全員まとめて守り殺したるわ」
ヒーローになるのは高額納税者ランキングに名を連ねるためなんて言っているけど、ちゃんと皆を守ろうとする優しさ。やはり勝己くんは、今の世の中になくてはならない人だをこの人を死なせてはいけない。
私の命を掛けて、勝己くんを守ろう
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作者名：はるな | 作成日時：2017年12月13日 15時
