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あれから家に帰ってリノさんとジソンさんに一連の流れを説明すれば、片方はため息を吐いて思考を放棄し、もう片方は逆に渋い顔で何かを考え込んでいた。
LK「家に来い、の次は家に呼べって?もーほんと霊媒師に振り回されてばっかだねA」
JS「……いや、でもいいんじゃない?結局これを逃せば話は何も変わらないし」
LK「そりゃそうでしょ。っていうか、そのテヒョンって奴もこっちがそう考えるって分かってるからそんだけ自信満々に頼んできてるんだろうし」
やっぱりそうなるか、と思いながら学校の鞄を整理していると、ふと指先に教科書やノートとは違う質感の物が当たる。
『あ、結局もらったのに飲んでなかった………ってちょ、リノさん?』
LK「これ、あいつにもらったの?」
ホットのグレープジュース。もうすっかり冷めてしまっているけれど中身は普通のぶどう味で美味しいだろう、とキャップを開けようとすると横からリノさんの腕が伸びてきた。
そのままペットボトルごと奪われ、さっきとは打って変わった真剣な表情でそれを見つめている。
『あいつって、テヒョン君の事ですか?そうですよ。前にも貰ったんです』
LK「前?それっていつの話」
『…それこそ、ちょうど私が熱を出した日ですね。その日のお昼ご飯の時にも貰ったんです』
LK「………ジソンア。今日はAの近くに居て」
真剣な表情を崩さないまま、リノさんは「ちょっと魔界行ってくる」とクローゼットを開けて去っていった。結局ジュースはリノさんの手の中にあるまま。
『……急にどうしたんでしょうか』
JS「まあ、あのヒョンの気まぐれには俺もついていけないことばっかりだからね。それよりAちゃん、今日課題多い日?」
『え?いや別にそこまでの量はないですけど』
JS「じゃあこのソフト一緒にやろうよ、ヒョンジナからこの間借りてきてまだプレイ出来てなかったからさ〜」
数百年の付き合いのジソンさんにまでこう言われているようなら仕方ない。恐らくテヒョン君に関する何かしらの手がかりがあのジュースにあったという事なんだろうけれど、それを今私が掘り下げたところで意味は無いし、帰ってきたリノさんに話を聞いた方が早い。
この時の私は、そんな楽観的な思考で、嬉々としてソフトをゲーム機に入れるジソンさんを見ていた。
JS「………」
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いちごだいふくlike(プロフ) - はじめましてさん» はじめまして!コメントありがとうございます!どのお話も読んでいただけたようでこちらこそ本当にありがとうございます!ぜひたまにでも思い出してもらえたらと思います、! (2022年6月27日 7時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
はじめまして - 今朝作品をみつけて一気にはじめから最後まで読み切りました。いろんなENDや続編とても面白かったです。 (2022年6月26日 13時) (レス) @page48 id: dc356df402 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 錆猫さん» コメントありがとうございます!こちらこそ、最後までお付き合いくださりありがとうございました!!他作品も頑張っていきます……!!! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
錆猫(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉なんか、もう、ほんとに最高です…!楽しい時間をありがとうございます!ほかのお話も楽しみしてます!! (2022年4月4日 14時) (レス) @page48 id: 5bb6e7e4d5 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 藤さん» コメントありがとうございます!いつもこうしてコメントを下さり、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。これからも末永くお付き合い頂けたら幸いです🤍 (2022年4月4日 4時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすてい | 作成日時:2021年12月1日 0時