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あれから、私とまほっちゃん、そしてシルクさんの三人で個室のある居酒屋さんに来た。一生の間にこの二名のトップYouTuberさんと一緒にお食事できる機会なんてあろうか……いやない。
そう、シルクさんと話している時のまほっちゃんは、大きく違う訳ではないけれど、けれど私と話す時よりはYouTuberである感じがして。
私がよく画面越しに見てる人だな、と改めて思うと同時に変な緊張感が生まれて、私は顔にそれが表れる前にお冷やのグラスを仰いで誤魔化した。
マホト「さて、っと。お前らか、Aのご近所さんってのは」
そう切り出したまほっちゃんに、シルクさんは驚くほど動じてない。ほんと冷静だなこの人。
シルク「はい。マサイがAちゃんの隣に住んでて、俺はその二階上なんです」
マホト「こいつ、やったら嬉しそうにご近所さんって言ってるからどんな奴かなと思ったらマサイとはな。ちなみに俺は小学生からの付き合いだよ、昔よく公園で遊んでた。それだけだ」
心なしか、この場の空気が堅いのはどうしてか。私も、流石にそれが分からないほど馬鹿じゃない。
『……シルクさん、私の過去を、まほっちゃんは知っています。んでねまほっちゃん、シルクさん達も、私の過去を知ってる』
マホト「だろうなぁ、じゃあ話は早い。シルク、頼みがある」
シルク「頼み?」
まほっちゃんが、頼み事。
マホト「Aと、仲良くしてやってくれ」
『……え?ちょ、なにそんな親みたいなこと言って』
マホト「絶対いつか、Aは自分の親と会う日がくる。こんな事到底言うわけのない、狂った二人とな」
『な…………』
狂った、二人。
そうか、側から見たら私のお父さんとお母さんは、狂ってた、のかな。
記憶は曖昧にしか残っていない、けれど実は背中には、その頃のものだっておばあちゃんに教えられて知った、痣がある。ちょうど、男性の握り拳くらいの大きさの。
マホト「その時に、一緒に居ろとは言わねぇ。それはAの問題だから。けどその後に飲み連れてってやるぐらいは、頼む」
『……まほっちゃん、』
マホト「俺の家に来いよ、って言ったんだけどな。流石にそう簡単には無理だったしな」
笑いながらそう言って、またお酒に手を伸ばしたとき、シルクさんが口を開いた。
シルク「任せて下さい。俺達にも、Aちゃんが必要なんです」
その言葉にまほっちゃんは、優しい笑顔を浮かべて、じゃあこっからは飲むからな!と言いきった。かっこよかった。
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いちごだいふく(プロフ) - hina4428さん» コメントありがとうございます!気になるところで長い間止めてしまっていました……ただいま更新しましたのでぜひ読んでいただければ嬉しいです! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 619c5266ec (このIDを非表示/違反報告)
hina4428 - きになるっ!…続きがっ…気になるぞぉぉぉぉぉ!!!更新待ってます! (2019年8月15日 21時) (レス) id: bd94ce952c (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふく(プロフ) - めろこさん» コメントありがとうございます!そしてなんて嬉しいお言葉……!これからも頑張ります! (2019年5月29日 20時) (レス) id: 0069fa8620 (このIDを非表示/違反報告)
めろこ - いちごだいふくさまおかえりなさい。最近読み始めてまた更新して下さうことを楽しみにしておりました。これからの更新楽しみにしております! (2019年5月28日 22時) (レス) id: 9c37dcd8ea (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふく(プロフ) - ハルキさん» コメントありがとうございます!!嬉しい限りです、これからも頑張ります!(^^) (2019年3月24日 11時) (レス) id: 0069fa8620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごだいふくlike | 作成日時:2018年12月5日 22時