トリップしたら織田作の妹になってた...その2！ (ページ6)

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Ｒｅ：５話ページ6

「(…あれ？もしかしなくても私空気？)」

先刻から何にも喋ってない太宰はもはや空気と化していた。

『率直に云いますと殺しはしたくないですし、裏社会に巻き込まれたくないです。

入るなら人助けの出来るところに入った方がマシです。あと、その提案が私にとって不利です。』

“人助けの出来るところ”というワードに森が少し反応する。心当たりがあるのだろう。

「でもね。判った、返そう、とはならないのだよ。私や太宰君の顔を見たからね。バラされても困る」

ポートマフィアは常に軍警や異能特務課に監視され続けているので、

何か一つでもポートマフィア内の情報を漏らされたら戦力が大幅に減ってしまう。

森はそれを恐れた。

『…はぁ。入ってもいいですよ。いいですけど条件があります』

森に根負けしたのかAが折れた。心底面倒くさそうな顔をしている。

「条件とは？」

『私に殺しをさせないことです。この条件を飲むのであれば入ってもいいです』

もしポートマフィアに入っても殺しはしない。日頃非人道的なことをしているポートマフィアにとってはそんな人材は入れてもそんなに変わらない。

だが森は

「…いいだろう」

その条件を飲んだのだ。

「ようこそポートマフィアへ」

にっこり笑う森から放たれたその言葉はAにはずっしりと乗っかる感覚がした。

「入ってくれて嬉しいよ」

『(うへぇ。面倒くさいことになってしまった)』

全部見えていたような森の発言に今更後悔するA。

森の予想通りに行ったのが悔しいまま部屋をあとにした。

「なんで入ると云ったんだ！」

ビルの外で声を荒らげて云う織田。妹に悲惨な目にあって欲しくないという思いからだ。

『…あそこで“はい”を云っていないと多分死んでた。

お兄ちゃんのことと、私のことを考えたら、死ぬより入った方が懸命かなと思ったんだ』

勝手なことをしてごめん、それは何故か口から云えなかった。

「…Aなりに考えていたんだな。気づかなくてごめん」

『……ぅ…』

織田がAの頭に手のひらをポンと置く。

それが引き金で、Aが今まで我慢していたものがボロボロと崩れ落ちていった。

「兄妹愛って美しいね」

太宰は外まで送る役だった。そこに織田兄妹に見せられた兄妹愛が綺麗だと思った。

自分には血の繋がった兄弟なんて居ないから羨ましかったのだろう。