トリップしたら織田作の妹になってた...その2！ (ページ15)

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Ｒｅ：１４話ページ15

コンコンコン

国木田さんが三回ノックをする。

「社長、今宜しいですか？」

「ああ。いいぞ」

「失礼します」

ガチャっとドアの開く音がする。まああったりめぇだけど。

「早速で申し訳ないのですが、この人が我が社に入りたいと云っているのですが…」

「…して、訳は」

…今気付いたけど、みぃちゃん(夏目先生)社長に撫でられてる。めっちゃ嬉しそう。

『…国木田さんは席を外して貰えますか？』

「…分かった」

と、社長室をあとにした。

『話しますね。…昔、“織田”という鳶色の髪をした男に会いませんでした？』

「！…どうして知っている？」

『私の兄なんです。今は兄と呼べないですが』

スっと下を向く。今私の顔はきっと酷い顔をしていると思うから。

…あーあ。

『兄を助けたいんです。今、ある異能者のせいで私が存在している記憶だけ消されていて…その期間だけでもいいので入れて欲しいんです。捜査も捗るし、探偵社の皆さんに助力をいただけると思ったので。勿論、自分勝手な理由なのは承知しています。できるだけ一人で捜すので…』

「書類仕事はできるな？」

社長が私の言葉を切って云う。

『え、あ、はい。教えて頂けるなら…』

「なら採用だ。調査員か事務員か。どちらがいい」

え、え？理由は？いいの？(困惑)

『あ、じゃあ事務員で』

「じゃあそのように手続きする」

『あ、あの。理由、まだちゃんと云っていないんですが…』

社長は手続きの紙に走らせていた万年筆を置き、顔を上げる。

「“兄を助けたい”。その気持ちだけでも入る理由になる。…助けてやれ」

涙が出そうだったけど何とかこらえた。え、何でこんなに感情的になってんの私。

此方(文スト世界)に来てから色々可笑しくなってない？

『ーッ！…はい！…失礼しました』

ガチャっとドアを開ける。目の前に国木田さんが居た。

割とビビった。

『うぉう！ビビった…』

「どうだ？採用だったか？」

『はい。出勤は明日でもいいですか？』

「ああ。今日はそこまで忙しくないしいいが…家はどうするんだ？」

『兄の友人の家にいます。だから大丈夫です』

それから、国木田さんと今後のことについて話し、帰った。

『ただいまー』

「おかえり」の言葉は帰ってこない。まだ治兄ちゃん帰ってないんだ。

入ってすぐ自分の部屋(用意してくれた)に入る。途端、今まで抑えていた涙が溢れた。