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「結菜ちゃんって、
何にも苦労してなさそうでいいね。
じゃ、私帰る。」
女子は教室から不機嫌そうに出ていった。
「…」
「…お前、何してんだよ。」
俺は我慢できなくて、
ぼーっとしていたあいつに声をかけた。
「…あれ?石原君じゃないか。
どうしたの?」
力なさそうに笑い、そういった。
「…なんで」
「え?」
なんで、
「なんでお前はそこまでして俺に構うんだ?」
自分の人間関係を少し崩してまで、
俺のことを構うんだ?
ただの知り合いでしかない、俺に。
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「え、聞いてたの?
盗み聞きなんてタチが悪いねぇ…」
「なんでだよ。」
俺は構わず答えを促した。
「なんでって………」
訳がわからないといったように首を傾げた。
「君、人を小馬鹿になんてしないでしょ?
そんな冷たい人じゃないよ。
あの子は、
石原君とあんまり話したことないのに、
勝手に決めつけるのは違うと思う。
それを否定して、何が悪いの?」
俺は初めてこんな風に言われた。
『いいねー、
石原君はなんでもできて。』
『しょうがないじゃん。
石原みたいに
完璧にできないんだから。』
俺は努力してるのに、
なんでもできて当たり前っていわれ続けて、
人と関わるのも、
いちいち訂正するのもめんどくさかった。
こいつが、初めて俺を分かってくれた気がした。
「…ありがとな。」
すると、
あいつは少しびっくりしたように目を見開き、
それから、
「どういたしまして?笑」
嬉しそうに微笑んだ。
そして、
ドクン
胸が鳴った。
そう。
俺はこの瞬間、
こいつに恋をしたんだ。
魔法使いの、
こいつに。
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あや - ミナさんの小説、ほんとに面白すぎます!私にはこんな文才ないんでうらやましいです…これからも頑張ってくだい!応援しています! (2020年5月29日 14時) (レス) id: c76ac59f23 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ @メイン(プロフ) - シグさんSさん» ホントなんですよ笑 でもそう言ってもらえて嬉しいです!また思いついたら挑戦してみようと思います! (2018年12月24日 9時) (レス) id: dbbaa59aee (このIDを非表示/違反報告)
シグさんS - 面白かったです!…初めてのファンタジー?うそだぁ。絶対初めてじゃないって。こんな面白いのに初めてっヤバイって。というレベルで面白かったです!これからも頑張って下さい! (2018年12月23日 21時) (レス) id: e6f3c704f0 (このIDを非表示/違反報告)
ミナ @メイン(プロフ) - 如月 唯奈さん» ですです笑 でも上手くできていたならよかったです! (2018年12月23日 8時) (レス) id: dbbaa59aee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - え?初めてなんですか?話の展開とか、面白いので二週繰り返して見てしまいましたっ! (2018年12月22日 22時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミナ | 作成日時:2018年6月28日 17時