27輪目 ページ9
『…………んぅ…………?』
翌朝Aが目を覚ますと、目の前は真っ暗で、柔軟剤の良い香りが鼻に広がる。
まだ重たい瞼を擦り、少しだけ顔を上にあげると、Aの頭の上にはまだ眠っている乙骨の顔があった。
昨日抱き締められて安心して寝落ちし、そのままベッドまで運んでくれたのだろう。
何時ものAなら抱き締められたまま寝たなどという状況になれば、顔を真っ赤にしてベッドから落ちる勢いで乙骨から離れるが、今日は違う。
仲直りした翌日という事もあり何となく甘えたくなってしまったAは、2度寝しようと乙骨の胸に顔をぐりぐりと押し付け、目を閉じた。
「……あぁもう……。朝からそんな可愛い事されると困っちゃうなぁ……。」
『…………へっ…………?』
ビックリして顔を上げると、困った様に笑っている乙骨がいた。
「ふふっ。おはよう。よく眠れた?」
『……うわあぁぁぁぁぁぁっ!!』
Aは顔を真っ赤にして叫んだかと思えば、凄い勢いでベッドから滑り落ち、床に尻もちをついた。
色んな衝撃で一気に目が覚めたし、結局こうなる。
「え!?ちょ、大丈夫!?」
乙骨は慌ててベッドから降り、Aの前に片膝をついてしゃがむ。
『いっ何時からっ……起きてっ……!』
「1時間位前かな?寝顔可愛かったよ。」
『いっ……!?』
寝顔を見られたという羞恥心と、先程乙骨がまだ寝ていると思って取った自分の行動を思い出し、Aは茹でダコのように顔を真っ赤にして、両手で顔を覆って俯く。
乙骨は目を細め微笑み、そんなAを愛おしそうに見つめる。
「……あ、そろそろ出ないと……。僕今日任務なんだよね……。」
そう言った乙骨は立ち上がり、Aの片手を握ってAの事も立ち上がらせる。
離れたくないな、と乙骨が名残惜しそうにAの髪を撫でていると、部屋のドアをドンドンドンと勢い良く叩かれる。
誰だろう。
乙骨はそう思いながら扉を開けると、同級生の真希が立っていた。
今日は4年生揃っての任務らしい。
「はよ。下で伊地知さん待ってっから早く行く……ぞ……。」
真希は乙骨の後ろから顔をひょっこりと出したAを見て、目を見開いて固まった。
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ぱーぷる姫(プロフ) - リクエスト全て叶えてくださって、本当にありがとうございます!!感無量です。 (2022年11月11日 5時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - こっちにもあっちにも失礼します!もうルンルンで読んでます!何度読んでも色褪せない美しさのあるお話しで大好きです!! (2022年11月11日 4時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ゆきな☆さん» うわあああありがとうございます(´;ω;`)頑張ります!!! (2021年9月14日 19時) (レス) id: fa378eaf30 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな☆(プロフ) - 続き待ってますっ!!お体に気をつけてくださいね!! (2021年9月14日 19時) (レス) id: ccfc63a9dd (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - お姫様?!なんと素敵なあだ名を!ありがとうございます!更新が楽しみです! (2021年8月20日 1時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2021年8月12日 5時