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26輪目 ページ8

Aは乙骨の部屋の前まで来たが、中々ノックを出来ずに居る。
あんな事を言ってしまって嫌われたに決まっているし、もしかしたら別れ話が出てしまうかも知れない。
そんな事ばかり考えてしまい、先に進めない。



「Aちゃん……?」



背後から、声が聞こえた。
Aは勢いよく振り返り、そこに居たのは__。



『……ゆっ………………え…………?』



「良かった戻って来てくれて……。」



『……ほっぺた……。』



「ああこれ……。真希さんに頼んでやって貰ったんだ……ははっ。」



乙骨の右頬には、綺麗なもみじマークがついていた。
何でも、頭を冷やす為にビンタをしてくれと真希に頼んだらしい。
理由を聞いてブチ切れた真希に一切の手加減無しにやられた為、ヒリヒリと痛む。
その姿を見たAは、またぶわわ、と目に涙をためた。



「え、ちょ、」



『ごめっ……なさっ……。せんぱいの話聞かずにっ……嫌いなんて言ってごめんなさいっ……!!』



Aは俯いたまま乙骨の服の裾を片手でキュッと握り、ボロボロと涙を零す。



「……とりあえず部屋の中入ろっか。」



Aの手を引き部屋の中へ入れ扉を閉めた乙骨は、まだ泣いているAの両手を大きな手でふわりと握り、目線を合わせて屈む。



「僕もごめんね、言うべきだった。そしたらこんなに泣かせる事無かったのに……。本当にごめんね。次そういう任務の時はちゃんと言うから。」



鼻を啜りながらコクコクと頷くAの涙を、親指で払う。



「……あ、でも1つだけ……。Aちゃん、伏黒君と仲良いじゃん……?距離感をもう少し考えて欲しいかなーって……。」



『……距離……?』



乙骨は、この間資料室から2人で出てきた所を見てしまったと話した。
もちろん、仲良くするなという訳では無いが、やはり彼氏としては嫉妬するし、もっと自分を頼って欲しい。



「てっきり愛想尽かされちゃって伏黒君の方がいいのかなーなんて思って……。それで最近よそよそしい態度取っちゃった。」



『……ごめんなさい、気を付けます……。……でもっ、私が好きなの憂太せんぱいだけなのでっ……!』



「……私が、の後もう1回言って……?」



『……す……好き……。』



顔を赤らめて言うAを、乙骨は満足そうに抱き締める。
やっとその言葉が聞けた。
暫く抱き締めていると、安心したのか、乙骨の腕の中で寝息を立てているAが居た。


「……嘘……この状況で……?」

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ぱーぷる姫(プロフ) - リクエスト全て叶えてくださって、本当にありがとうございます!!感無量です。 (2022年11月11日 5時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - こっちにもあっちにも失礼します!もうルンルンで読んでます!何度読んでも色褪せない美しさのあるお話しで大好きです!! (2022年11月11日 4時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - ゆきな☆さん» うわあああありがとうございます(´;ω;`)頑張ります!!! (2021年9月14日 19時) (レス) id: fa378eaf30 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな☆(プロフ) - 続き待ってますっ!!お体に気をつけてくださいね!! (2021年9月14日 19時) (レス) id: ccfc63a9dd (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - お姫様?!なんと素敵なあだ名を!ありがとうございます!更新が楽しみです! (2021年8月20日 1時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はる | 作成日時:2021年8月12日 5時

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