支え〜中村side〜 ページ32
「…え?俺……?」
「はっ!!あああの!!決して重く感じないでください!!引かないでください!!」
「いや、引かないけど。ってか今のお前のテンションの起伏の激しさに軽く引くわ。」
「…あっ!し、失礼しました…。」
「いやそれな。」
さっきまでのシリアスムードが一瞬にしてぶち壊れ、やっと俺も普段通りの言葉が出てくる。
「あの…本当に深く考えないで聞いて欲しいんですけど…
あの頃の私には拠り所が必要だったんです。
無視されて悩んでたけど、相談できる人もいなくて。
声優は小さい頃からの夢だったから諦めたくなくて……けど学校に行くのも辛くて…。
けど、そんな時に中村さんのアフレコの映像を思い出したんです。
…この人と仕事をしたいって思った時の事を思い出したんです。」
「……それで、心の支え?」
「はい。初心に帰れたっていうか…。私は声優になるためにここにいるんであって、友達を作りに来た訳じゃないって、気持ちを切り替えられたんです。」
Aは引くなって言ったけど、どこに引く要素があるのかわからない。
俺が学生の頃の、決して上手くない演技を見て、声を聞いて、一人の人を勇気付けていたっていう事実。
そんな声優冥利に尽きることはない。
「……けど俺が声優になってるかわからないって言ってただろ?
それでモチベーションになるか?」
「そうですね…。けどまず声優にならないと会う機会すらない訳ですし。
それに……あんな声の人が声優の学校に入っておいて、声優にならないなんて選択肢ないって変な確信はありましたよ。」
「変なタイミングで俺を褒めるな!」
「あははっ!
けど、本当にあの頃の私は、ここで力を付けてプロの声優になってあの人に会うんだって、毎日そればっかり考えてました。
だから今すごい幸せなんです。
その[あの人]とこうやって仲良くなれてご飯まで食べてるんですから。」
「っ!……お前、なんか急に恥ずかしい事をポンポン言ってくるようになったな。」
「中村さんが赤くなると可愛い事に気づいたからですかね?
私の中のSっ気が…。」
「殺すぞ。」
「ごめんなさい。」
ドスを効かせて一言呟けば、すかさず聞こえてきた謝罪の言葉。
その速さに思わず笑ってしまって、それを見たAも一緒に笑う。
こんなにいい奴なのに。
こんなに可愛い後輩なのに。
なんでこいつには味方がいないんだろう。
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いくは(プロフ) - 妄想腐女子さん» コメント嬉しいですー!ありがとうございます!最近滞りがちですが頑張ります(*´ω`*) (2018年6月22日 9時) (レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
妄想腐女子 - 面白すぎます!!!声優LOVEにはとっておきですね!!更新、頑張ってください!! (2018年6月22日 0時) (レス) id: a8cadbb43c (このIDを非表示/違反報告)
いくは(プロフ) - 花陽さんありがとうございますー!初コメ超嬉しいです(*´∀`)頑張ります! (2018年5月26日 7時) (レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - すごく面白いです!これからも更新頑張ってくださいね!応援してます! (2018年5月26日 0時) (レス) id: f5d3d09cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いくは | 作成日時:2018年5月9日 9時