要素〜中村side〜 ページ24
「いや、Aが悪いってことじゃないよ!」
俺と小野くんの怪訝そうな顔に気づいた神谷さんが慌てて手を横に振った。
「そうじゃなくてさ、Aって事務所に入った時結構話題になったじゃない?
[期待の新人]ってさ。
あれ、シグマセブンだけじゃなくて他でも結構話題になったんだよ。」
「そうなんですか?」
「あ、俺も会う前に知ってたよー。」
神谷さんの意外な言葉に驚いている俺とは裏腹に、小野さんは当たり前のように頷いた。
「まぁオーディションで1人だけ合格ってだけでも結構話題になるしねー。
しかもほら、中村くんも一緒だったんじゃなかったっけ?
Aが初めて端役やった時、端役じゃなくて名前付きの役をプロデューサー直々に指名されたって。」
「え、あー…はい。いましたけど…役のオーディション進められたってだけで、別に指名だったわけじゃなかったですよ。」
尾ひれがついて話が出回ってるんだな。
ちょっとAが可哀想になった。
これじゃ彼女のプレッシャーは半端じゃないだろう。
「え?そうなの?」
実際神谷さんも小野さんも間違った話を信じていたらしく、俺の話に目を丸くしている。
けどなるほど……。
苛められる要素……か。
神谷さんの言いたいことがわかった気がする。
「けどまぁ実際その役のオーディションで合格しちゃってる訳だしねー。
その後も名前付きちょくちょくやってるでしょ?A。
入って一年でこれはちょっと異例ともいえるよね。」
「早い話が嫉妬…って事ですよね?」
神谷さんの言おうとしている事を先回りして答える。
「そう。同期の他事務所の子とか、ちょっと上の子達とかは良く思ってない子多いんじゃないかなー、ってさ。」
「ありえますね。俺実際一度現場に居合わせましたし。」
「マジ!?」
神谷さんの話に同意すると、それまで黙って話を聞いていた小野さんが身を乗り出してきた。
「ちょうどそのプロデューサーにオーディション進められる前、なんか絡まれてましたね。
……ってやべ。俺本当に行かないと。」
腕時計を見て頭が冷える。
あと5分で打ち合わせが始まる時間だった。
「ああ、ごめんごめん。俺達も行こうか。小野くん。」
「そうっすね!じゃあ中村くん頑張って!Aちゃんにもよろしくね!」
「はい!」
言いながら俺は既に走り出していた。
もし本当に苛めがあるんだとしたら
あの明るい笑顔の裏で
彼女は
どんな気持ちで仕事をしていたんだろう。
125人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いくは(プロフ) - 妄想腐女子さん» コメント嬉しいですー!ありがとうございます!最近滞りがちですが頑張ります(*´ω`*) (2018年6月22日 9時) (レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
妄想腐女子 - 面白すぎます!!!声優LOVEにはとっておきですね!!更新、頑張ってください!! (2018年6月22日 0時) (レス) id: a8cadbb43c (このIDを非表示/違反報告)
いくは(プロフ) - 花陽さんありがとうございますー!初コメ超嬉しいです(*´∀`)頑張ります! (2018年5月26日 7時) (レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - すごく面白いです!これからも更新頑張ってくださいね!応援してます! (2018年5月26日 0時) (レス) id: f5d3d09cf4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いくは | 作成日時:2018年5月9日 9時