嫉妬〜中村side〜 ページ12
プロデューサーとAさんの会話をその場にいた全員が聞いていた。
特にガヤとして参加していた声優陣は驚きを隠せないようで、にわかにざわつき始めている。
特に絡んでいた女二人は苦虫を噛み潰したような顔をしてるな。
そんな奴らをいい気味だと思う反面、自分の中にも小さく黒い渦ができたのを感じる。
この渦の正体なんて聞かなくてもわかる。
〔嫉妬〕だ。
ついこの間入ったばかりの新人が、プロデューサー直々に名前のついた役を進められるなんて
少なくとも俺は見たことがない。
彼女は最高の形であの二人を見返したんだ。
さすがは〔期待の新人〕だな。
そんな言葉が頭の中に浮かぶ。
ハッと正気に戻りそんな考えを吹き飛ばすように頭を振る。
こんなのただの負け惜しみだ。
事務所の後輩にこんな感情を持つなんてどうかしてる。
これじゃあさっきの二人と同じじゃないか。
悔しかったらさらに先に行けるように努力するだけだ。
そう俺は自分に言い聞かせて荷物をまとめる。
「お疲れ様でしたー。」
一言全員に向かって声をかけ、１人さっさとスタジオを出た。
この頃の俺は焦っていたのかもしれない。
事務所を移籍したものの大した仕事もなく、
メインキャラのオーディションを受けては落ち
そのオーディションで脇役としてのオファーを受ける。
メインストーリーに関わるようなキャラをやれることはほとんどなかった。
金もなくて、先輩にご飯に連れていってもらう日々。
このままでいいのかって毎日自問自答してた時期だったんだ。
そんな中で見せつけられた実力の、才能の差。
あぁ、やっぱりできるやつは最初からできるのか。
努力なんて意味があるのか。
そんな事を考えながら歩いて、俺の中の黒い渦は中々消えてくれない。
「中村さん！！」
渦に飲み込まれたくなくて、無意識のうちに早足で歩くなか、突然背後から呼び止められた。
振り向くとその渦の原因が息を切らして立っていた。
「Aさん…？」
今はあまりこの子の顔見たくねーなぁ。
そんな俺の頭の中を知る由もないAさんは胸に手を当てて息を整えている。
「はぁ…はぁ…。あの……少しお話が…はぁ…
少し…少しでいいんです。お時間、ありませんか？」
「あー、悪いけど…。」
断ろうと彼女を見た時
彼女があまりにも必死で
すがり付くような顔をしていて
思わず毒気が抜かれてしまった。
「……いや、じゃあ少しだけ。」
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いくは(プロフ) - 妄想腐女子さん» コメント嬉しいですー！ありがとうございます！最近滞りがちですが頑張ります(*´ω｀*) (2018年6月22日 9時) (
レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
妄想腐女子 - 面白すぎます！！！声優LOVEにはとっておきですね！！更新、頑張ってください！！ (2018年6月22日 0時) (レス) id: a8cadbb43c (このIDを非表示/違反報告)
いくは(プロフ) - 花陽さんありがとうございますー！初コメ超嬉しいです(*´∀`)頑張ります！ (2018年5月26日 7時) (レス) id: 31af189ded (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - すごく面白いです！これからも更新頑張ってくださいね！応援してます！ (2018年5月26日 0時) (レス) id: f5d3d09cf4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いくは | 作成日時：2018年5月9日 9時
