伍 ページ27
それは今までの記憶だった。つい先刻の事から数か月前の事まで様々の。
今朝、二組の教室の扉を後ろ手で閉めた事。
一か月前、校長に「開心術は使えない」と云われた事。
新庄に�犹爐亮�い�瓩魘瑤蕕辰鴇位技�でいた事。
全校生徒に呪文の試し打ちをされても何とか全部回避出来ていた事。
新庄達に失神の呪文を手慰みに何度打たれても失神する事が無かった事。
どんな魔法薬を飲んでも私には効果が無かった事…。
そして今この状況だ。
何故か佐々城は一度たりとも、魔法を使おうとしない。
隠れている子供二人、余裕で見つける力が彼女にはあるだろうに。
(この状況だ…！これこそが何よりも�爐海硫椎柔��瓩鯲�付けている！)
「中原君」私は自然と彼を呼んでいた。
「もうこれが最期の言葉になるかも…」
少年はぎょっとしていた。
「おいおい、冗談きついぜ…」
予想通りの反応に、私は思わずニッコリと微笑んでしまった。少年はますます顔を不安で曇らせる。
「だから云っておきたいの。私、君が友達じゃなかったなんて思った事、一度もないよ」
少年は目を丸くさせた。何だか、彼のその表情を見れただけでツイてると思えた。私はもっと笑みを深めて、云った。
「だからね、これで仲直り」
私は彼に対して手を差し出した。少年はもっと目を丸くさせて、危うく目玉が落ちてしまうのでないかと思わせた。
「…手前、先刻と云ってる事、違くねえか？」
「鈍いなあ、先刻のは意地悪で云ったんだよ」
それを聞いて中原少年は照れくさそうに頬を掻いた後、そっと手を差し伸べた。私たちは襲撃者と同じ部屋にいる事も忘れて、握り合った手を上下に振った。
(太宰少年、君は怒るだろうな)
もう一つ、やりたい事が出来たよ。
君と中也、それに独歩と四人で楽しく過ごすんだ。
時には喧嘩する事もあるだろう、でもその度に仲直りして。そうして試練を乗り越えて行きたい。
どんな困難でも乗り越えられる友達になりたい。
(だから、その為には)
この困難も乗り越えなきゃいけない。
佐々城はもうそこまで来ている。
「…中也、頼みがある」
「な、何だよ」
私の雰囲気が一変したからだろうか。中也は当惑したように私を見た。けれど、それは本当に一瞬の間だけの事で、すぐに私の頼みを何でも聞き入れてやろうという姿勢になった。
「少しの間、一瞬でもいい。…佐々城の気を引いて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» こんな細かい描写にも気づいて頂けるなんて物書き冥利につきます！消せませんよ、でもここでは説明し切れないので後日改めて説明させて頂きますね! (2018年12月13日 20時) (
レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» お久しぶりです。しぇるふぃあ。さん、すごく読んで頂いているようなのでとても嬉しいです、ありがとうございます。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - ところで夢主ちゃんは前世が国語教師なのですよね？だったら41pに出てくる安吾さんの名前は知ってるはず…と違和感を覚えました(・・?) はっもしや伏線？ネタバレに触れるようでしたらこのコメントはそっ消ししてくださいm(_ _)m これからも陰ながら応援してます!! (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - お久しぶりです！しばらく顔を出せなかった間にすごく進んでて一気読み不可避でした…あんまり好きポインツ語るとコメ欄ネタバレになるので控えますが仲直り本当に良かったです(ネタバレ) (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 紫苑さん» 応援ありがとうございます!頑張らせていただきます！ (2018年12月2日 23時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サラ | 作成日時：2018年9月20日 12時
