59話 根も葉もない噂 ページ10
「A！」
談話室に入ってきたロンが、私を見るなり素っ頓狂な声をあげた。
「なんでグリフィンドールの談話室にいるんだ？」
「そりゃ、俺たちと片時も離れたくないからに決まってるよな、A？」
調子良く肩に手を回すフレッドを払い除けて、私は咳払いをした。
『からかわないで、フレッド...マクゴナガル先生に特別に許可をいただいたの。
いろいろ事情があって...』
ロン達と親しそうに話す緑色のローブの私を、ハリーは終始不思議そうに見つめていた。
『あの、初めまして、ハリー。
私はA・グレーパー』
私が手を差し出すと、ハリーは可愛らしくにっこり笑って手を握った。
『今日は災難だったね』
「うん…スネイプのやつ、僕のことを憎んでるんだ」
「そういえばA、スネイプと仲良く話してなかった？」
『ああ…まあね。少し意地悪だけど、あれでなかなか優しいところもあるよ？』
「少しだって？」
ハリーが苦い顔でこちらを見た。
続いてロンも、私が信用ならないという様子で口を開いた。
「あいつが生徒にお菓子でも配ってなきゃ、僕は信じられないや」
『君のお兄さんたちも同じようなこと言ってたな』
私たちは他愛もない会話をしながら、夕食を取るために大広間に向かった。
しかし、中に一歩入って、私は思い知らされた。
私はハリーと一緒にいることが許される人間ではないと。
突き刺さる視線がいつもより痛い。
それもそうだ。
魔法界を救った英雄と、魔法界一の嫌われ者が一緒なのだから。
薄々感じていた。ハリーが入学してから、私への嫌な空気は濃くなっているのだ。
『じゃ、私はあっちだから。あとでね』
私はひらりと手を振ると、そそくさとスリザリンの席へと戻った。
私のせいでハリーまで悪い噂を立てられては困る。
しばらく大勢の前でハリーと関わるのはよそう。
ただぼんやりとフォークを口に運び、ローストビーフを喉に流し込む。
「ハリーポッターに近づいて、何か企んでいるんだわ」
「例のあの人がまた動き出しているのかも...」
囁き声の方をチラリと見ると、途端に小さな悲鳴が上がって、彼女たちは押し黙った。
根も葉もない噂を立てて、なにが楽しいのか。私はため息をついた。
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猫目石(プロフ) - 更新ファイトぉォぉォぉォぉォぉォぉォ！ (2021年12月14日 17時) (
レス) @page17 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
s - とっても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ずっと応援します！！ (2018年8月8日 1時) (レス) id: 84290475d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2018年3月29日 19時) (レス) id: 5960f9db2e (このIDを非表示/違反報告)
二モ(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年3月10日 16時) (レス) id: 2f37a9d847 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 続き楽しみにしてます。とても面白いです (2018年2月12日 19時) (レス) id: ab64c6cb5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2018年1月25日 19時
