54話 とぼけた嘘 ページ5
『やだなあ、なんの話ですか？』
私のごまかし笑いなど、彼に通用するはずがない。
「とぼけるな。人が多いから我輩が気づかないとでも思ったか？」
物凄い形相のセブルスに圧倒されて、私は押し黙った。
「あまり我輩に反抗ばかりしていると、貴様の大事な大事な許可証を破り捨てることになるが？」
『うっ…』
完全に彼に弱みを握られている私は、思わずうめき声をあげた。
セブルスは勝ち誇った笑みでこちらを見下ろした。
「全く、お前という奴は…」
セブルスは深くため息をつきながら、私の額に手を当てた。
「また熱が上がったな…さっさと薬を飲んで休め」
今の私が彼に逆らえるはずもなく、私はおとなしくベッドに入った。
『セブルス』
「何だ」
『ハリーはいい子だったよ。人気者で、可愛くて…私とは正反対』
ハリーの名前を聞くと、セブルスは見るからに嫌そうな顔をした。
「猫を被っているに決まっている。奴の父親は傲慢な人間だった」
『ハリーもそうだったら、私も気が楽なのに…同じ呪いを受けたはずなのに、皮肉だね』
私は自嘲した。
同じ呪い受けたのでも、ハリーは魔法界を救ったのだから、
闇の力を持っているかもしれない、魔法界を脅かす存在の私とは大違いだ。
嫌われるのは慣れっこだが、私もハリーのようになっていたらと、時々思う。
誰かを怖がらせることも、危険にさらすこともない存在に。
「呪いが何だ？もしお前が闇の力を持っていたとしても、それで人を救う道もある。
昔、そういう奴がいたーーーー」
セブルスらしくない言葉に顔を上げると、彼の瞳は、どこか遠い過去を見つめて、悲しげだった。
ダンブルドアが彼に私の母親の話をした時と同じ目だ。
『セブルス…？』
「とにかく、今は休め」
私の言葉に被せるように、セブルスは一言告げると、真っ黒なローブを翻して部屋を出て行った。
＊
それから私が授業に出れるまでに回復したのは、入学式から数日が経ってからだった。
『お、遅れました…っ！！』
勢いよく扉を開けて教室に飛び込むと、あどけない一年生の視線は私に釘付けだった。
顔が次第に熱を帯びていくのを感じながら、私は頭を掻いた。
「これはこれは、ミス・グレーパー。よく眠れたかな？」
積み上げられた本棚の上から、フリットウィック先生が陽気に微笑んだ。
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猫目石(プロフ) - 更新ファイトぉォぉォぉォぉォぉォぉォ！ (2021年12月14日 17時) (
レス) @page17 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
s - とっても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ずっと応援します！！ (2018年8月8日 1時) (レス) id: 84290475d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2018年3月29日 19時) (レス) id: 5960f9db2e (このIDを非表示/違反報告)
二モ(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年3月10日 16時) (レス) id: 2f37a9d847 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 続き楽しみにしてます。とても面白いです (2018年2月12日 19時) (レス) id: ab64c6cb5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2018年1月25日 19時
