53話 空のベッド ページ4
私はこっそりとベッドを抜け出した。
さすがのセブルスも、入学式のこの人の多さでは私を見つけられないだろう。
私が大広間に着いた頃には、組み分けが終わり、一年生がほっとした表情でご馳走に手を伸ばしていた。
私はこっそりとグリフィンドールの席に座った。
「A…！」
フレッドが私を見て驚いた。
久々に会ったせいか、フレッドを見て思わず顔がほころぶ。
『しーっ！今スネイプ先生に見つかったら、
私、生きて帰れないの』
人差し指を口元に当てながら注意すると、ジョージが小声で言った。
「心配してたんだぜ。大丈夫か？」
『うん。大丈夫。泊まりに行けなくてごめんね』
私はテーブルの上のローストチキンに手を伸ばした。
「ほら、あれがハリーだ。君、会いたがってただろ？」
フレッドがそう言って指をさした先には、丸眼鏡でくせ毛、緑色のアーモンド型の瞳の男の子が、
夢中で目の前のご馳走にかぶりついていた。
『一緒に授業を受けるのが楽しみだな…』
「ロニー坊やをからかい放題だ。羨ましくて仕方ないね」
フレッドがハリー達を見つめながら、楽しそうに言った。
今度はデザートを頬張りながら、ふと職員席を見ると、セブルスとクィレル先生が話し込んでいた。
すると、突然左目に痛みが走った。
私は痛みをこらえながら、思わず左目を抑えた。
「A…？大丈夫か？」
ジョージが私の様子を見て、心配そうに覗き込んだ。
体調が悪いのにベッドを抜け出したせいか、はたまた言いつけを守らなかったことによるセブルスへの罪悪感か。
『大丈夫。ところで、クィレル先生はずいぶん様子が変わったね』
「ああ。旅行中に吸血鬼にでも会ったって噂さ。ビクビクして吃ってるし、あのターバン、ニンニク臭いんだ」
フレッドが顔をしかめながら話した。
二人が心配しないようにと話題を変えたものの、左目の痛みはいまだに収まっていなかった。
『じゃあ、私そろそろ戻るね。セブルスに見つかる前に、じゃないと命が危ないし』
ベッドを抜け出したことを少し反省して、私は二人にまた後で会うことにして、大広間を抜け出した。
＊
部屋に戻ってきてそうそう、セブルスは私をきっと睨みつけた。
私はというと、何事もなかったかのように、ベッドに潜っていた。
「隠し事があるようだな」
彼の冷たい声色に、思わず背筋が凍った。
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猫目石(プロフ) - 更新ファイトぉォぉォぉォぉォぉォぉォ！ (2021年12月14日 17時) (
レス) @page17 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
s - とっても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ずっと応援します！！ (2018年8月8日 1時) (レス) id: 84290475d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2018年3月29日 19時) (レス) id: 5960f9db2e (このIDを非表示/違反報告)
二モ(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年3月10日 16時) (レス) id: 2f37a9d847 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 続き楽しみにしてます。とても面白いです (2018年2月12日 19時) (レス) id: ab64c6cb5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2018年1月25日 19時
