66話 お揃い ページ17
彼の手がゆっくりと私の髪に伸びた。
フレッドはいつも、私の髪を優しく撫でて耳にかける。これが彼の癖だった。
私は彼にこうされるのが好きだった。
嫌なことがあっても、なぜか心が落ち着く。
『…フレッド、くすぐったい』
私がそう言って彼を見つめると、彼の真っ直ぐな瞳が私を捉えた。
「A」
名前を呼ばれて、何を言われるのかと構えていると、フレッドが優しく言った。
「俺は君の髪が好きだ。その左目も」
しばらく驚いて、私は頬が紅潮して熱を浴びるのを感じた。
彼はいつも予想外のことを言う。
『またからかってるんでしょ』
「いいや、本気。どうせスネイプと揉めてたのも呪いのことだろ。君がそんな顔して何も言わない時はそうと決まってる」
図星だ、とも言えず、私はただ黙っているしかなかった。
悪戯にしか脳がないように見えて、案外核心をついてくるのがフレッドの厄介なところだ。
「図星って顔に書いてる」
私が咄嗟に顔を隠すと、フレッドはケラケラと笑った。
少しの沈黙の後、
フレッドの私よりずっと大きな手が、また優しく私の髪に触れた。
私は心地いいくすぐったさに目を閉じた。
「…その髪も、左目も、俺の赤毛とお揃いだろ。だから好きなんだ」
フレッドが嬉しそうにはにかんだ。
また顔が火照る。
恥ずかしげもなく、よくもそんなことが言えたものだ。ただやんちゃなだけでなく女の扱いも上手いときては、私も手のつけようがない。
顔を赤らめている私をからかうように、フレッドは悪戯っぽく微笑んで言った。
「俺がその目を好きってだけで、君には十分だろ？」
『なにそれ、変』
私は思わず吹き出して笑った。
確かに、私には十分だった。
十分すぎた。
他の誰もが忌み嫌う私の一部を、彼が純粋に好きだと言ってくれるということが。
何もかもどうでもいいような、幸せな気持ちで満たされていた。
「Aはやっぱり、そうやって笑ってる方がいい」
フレッドが微笑んだ。
『…フレッドには敵わないよ』
「なんの話だ？」
『こっちの話』
丁度授業も終わったようで、生徒たちが移動するざわめきが廊下に響始めた。
「俺たちもそろそろ戻るか」
私はフレッドと二人で空き教室を後にして、
グリフィンドールの談話室に向かった。
続く (更新停止中)
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猫目石(プロフ) - 更新ファイトぉォぉォぉォぉォぉォぉォ！ (2021年12月14日 17時) (
レス) @page17 id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
s - とっても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ずっと応援します！！ (2018年8月8日 1時) (レス) id: 84290475d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2018年3月29日 19時) (レス) id: 5960f9db2e (このIDを非表示/違反報告)
二モ(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年3月10日 16時) (レス) id: 2f37a9d847 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯(プロフ) - 続き楽しみにしてます。とても面白いです (2018年2月12日 19時) (レス) id: ab64c6cb5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2018年1月25日 19時
