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10話 見透かされた気持ち ページ10

「何か不満かね?」


私は『何も』と、わざとらしく両手を挙げる仕草をしてみせた。

するとセブルスが、片眉を吊り上げて言った。

「貴様はスリザリン寮に不満があるようだが」

私はどきっとして彼を見た。

私の中を見透かすような眼差しに、私は慌てて目をそらす。

いつも意地の悪い目つきで私を見るくせに、たまに全てを見透かしているような瞳をするから、

彼は何を考えているのかよくわからない。

目をそらしたままの私に、彼は意外な言葉を口にした。

「心配せずとも、噂などすぐ消える。
事実、お前は闇の帝王の娘でもなければ、特別でもなんでもない、ただの小娘だ」

『...それ、慰めてるつもり?』

すると彼は途端にそっぽを向いてしまった。

私はその様子に、思わず吹き出した。

「...何がおかしい」

彼は眉間に思い切り皺を寄せ、不機嫌そうに言った。

『相変わらず素直じゃないなあと思って』

私はにやにやといやらしい笑みを浮かべた。すると彼は澄ました顔でじっと私を見た。

「それはこちらのセリフだ」

彼がまた、あの瞳で私を見ている。

再び心の奥を突かれたような感覚に、私はまたどきりとさせられた。

「悲しいことがあると、お前はいつも空元気を振りまく。そういうところは、母親に似たな」

彼の表情がふと悲しげになった気がした。

私は彼のそんな顔を見たのが初めてで、動揺してしまった。

『別に空元気なんかじゃないよ!』

「どうだか」


セブルスはぶっきら棒にそう呟いた。

彼の顔は、いつもの仏頂面に戻っていた。


「さて」と、セブルスはにやにやしながら話を切り出した。

私はそんな彼を果敢にも睨みつける。

「ほう...随分と勇敢だな、教師を睨み付けるとは。
夜中に寮を抜け出した件は、可哀想に一人でしくしく泣いていた貴様を思って、罰則を軽くしてやるつもりだったが...」

『へえ、あなたにもそんな優しいところがあったんだ』

私は挑戦的に口を挟む。
セブルスは今に見てろといった様子で、顔いっぱいに意地の悪い笑みを浮かべた。

「余程罰則が嬉しいようだな。よろしい、これから1週間、毎日夜8時に我輩の部屋へ来た前。
貴様を一生ぶんこき使ってやる」

彼の勝ち誇ったような顔を、私は恨みを込めて思い切り睨んだ。

『毎晩二人きりなんて、教授はよっぽど私にゾッコンなんですね!』

彼は怒りに顔を歪ませ、頰をぴくぴくと痙攣させた。

『おやすみなさい!』

危険を察知した私は、逃げるように彼の部屋を後にした。

11話 強く眩しい笑顔→←9話 恐怖の足音



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- 短編集の続編ってもうないんですか?面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます!最近は更新がいっぱいで嬉しいです!これからも頑張ってくださいね! (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです!!ありがとうございます、頑張ります! (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます!頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします! (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イレイ | 作成日時:2016年12月20日 21時

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