46話 なぜ古傷は痛むのか ページ46
「具合はどうかね？A」
『大丈夫です』
ダンブルドアに隠せているとは思わないが、私はそう答えた。
ダンブルドアはにっこり微笑んで、ベッドの脇の小さな机の方に目をやった。
「君は良き友に恵まれているようじゃの」
そこには果物や、色とりどりのお菓子が山積みになっていた。
「校長、お言葉ですがーーー」
「まあセブルス、そう急かすでない」
セブルスが不満げな顔をしたが、ダンブルドアは案ずるように彼の言葉を遮った。
「...A、君はわしらに隠し事があったようじゃの」
ダンブルドアのきらきらとした瞳が、私を見透かすようにまっすぐ捉えた。
私はしばらく黙り込んでいたが、ゆっくりと眼帯を外した。
セブルスの息を呑む音が聞こえた。
ダンブルドアでさえも、深刻そうな眼差しで私の左目を見た。
「いつからじゃ？」
『気づいたのは試合の前日です。でもその前から痛みはありました』
セブルスもダンブルドアも、眉間にしわを寄せたまま何も言わなかった。
「原因はわからんが、呪いは濃くなっておる...」
ダンブルドアが悲しげに瞳を揺らした。
「二年も早い入学は呪いから君を守るための措置だったのじゃが、効果があったかどうかは怪しいのう...」
セブルスはダンブルドアに釘をさすように言った。
「この手の呪いが些細なことで濃くなるものだとは、我輩には思えませんが」
彼の顔には焦りと不安が見えた。
"些細なことで濃くなるものではない"。
些細じゃないことって何なんだろうか。闇の力が、ヴォルデモートが関わっているとでも言いたいのか。
でも私は生まれてこのかたそんなものに関わったことはないし、こんなことが起きたのも初めてだ。
私の頭に、恐ろしいことがよぎった。
皆の噂が現実になったら。
私が実はヴォルデモートの娘だったとしたら。
恐ろしい闇の力が眠っていたとしたら。
「おお、セブルス。用心は実に大事なことじゃが、悪く考え過ぎても良い方には転ばんよ」
ダンブルドアが穏やかな口調でセブルスをなだめた。
「しかし、校長ーーー」
ダンブルドアは何も言わず、セブルスを遮った。
「疲れがたまっているのじゃろう。わしも忙しくて、20年前の古傷が痛んだことがあったのう...
まずはこの子はよく休まねばなるまい」
ダンブルドアは私にウインクすると、くるりと扉の方へ向きを変え、医務室を後にした。
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空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
