35話 葬り去るべき記憶 ページ35
ジョージは自分のしでかしたことを、まるで覚えていなかった。
自分で起きたことを話すのはあまりに恥ずかしかったし、
私はあの日のこと全て、あまり思い出したくなかった。
フレッドもそのことについて触れることはなかったし、
お互いに、もう一度思い出したら、何か口にしたら、
自分たちの関係は崩れてしまうと恐れているのがわかった。
気まずくはなからなかった。
だってあの日は、何も起こらなかったのだから。
私たちに、いつも通りの何気ない日常が戻ってきた。
いつのまにかクリスマス休暇は終わっていた。
＊
「今日はマンドレイクの植え替えをします」
スプラウト先生が大量の耳あてを用意していた。
温室に暖かな春の光が差し込み、植木鉢が照らされている。
鉢から紫がかった緑色のふさふさした葉が飛び出していた。
「成人のマンドレイクの鳴き声を聞けば、死に至ります。皆さんが今日植え替えるマンドレイクはまだ若いから、せいぜい気絶する程度でしょう」
恐ろしい説明を淡々としながら、スプラウト先生が全員に耳あてを配った。
「それでは、ペアを組んで」
この手の授業は大嫌いだった。
だって、私と進んでペアを組みたがる人間などいるはずがなかったからだ。
いたとしても、それは私に闇の魔術や呪われた左目について聞きたがるような生徒だったので、
私はうんざりしていた。
「おい、お前」
後ろから肩を叩かれて振り返ると、男子生徒が恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「俺はアレン・ヒューバーマン。お前は？」
人に話しかけることに慣れていないのか、彼はおずおずと聞いた。
漆黒の髪に、漆黒の瞳。吸い込まれそうなほど黒い瞳がちらちらと私を伺った。
驚いたことに、彼は私を知らなかった。
『私...A・グレーパー』
私は恐る恐る名前を口にしたが、本当に彼は何も知らないらしく、
白い歯を見せてにかっと笑った。
「よろしくな！俺と組もうぜ」
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空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
