34話 二度のハプニング ページ34
『二人とも何があったの...？』
ジョージの後ろで痛みに顔を歪めるフレッドを気にかけながら、私はジョージに説明を求めた。
何故かジョージは何も言わず、こちらに近づいてくる。
『ジョージ...？』
ジョージは閉まった扉にぐいと私を押し付けた。
様子がおかしい。
『ねえ、どうしたの？なんとか言っーーーー』
心臓がどくんと大きく跳ねた。
一瞬、何が起きているのかわからなかった。
彼の唇が、私の唇に優しく触れていた。
完全に硬直している私から、ジョージは少し顔を離した。
彼の顔が、瞳が、目の前にあった。
その目はまっすぐ私を見ている。
息が顔にかかりそうなほど近かった。
彼の手が私の後ろの扉をつき、逃げ場などあるはずもない。
「A、好きだよ」
耳元で掠れた声が囁いた。
私の顔はこれ以上なく、赤く染まっていた。
＊
「試作品の惚れ薬を間違って飲んだんだ」
私から離れようとしないジョージを無理やり引き剥がして、
私たちは一旦、空き教室に身を潜めていた。
ジョージに見つかったら何をされるかわからないので、私たちは教師用の大きな机の陰に隠れた。
「効果はあと30分もすれば切れると思う」
フレッドが外を伺いながらため息をついた。
「惚れ薬を飲むと、最初に見た人を好きになるんだ。君がくるのがわかってたから、俺はあいつの目を塞いでた」
二人が何故あんな風に揉み合っていたのか、これではっきりした。
教室の外を確認していた私は、フレッドの方を振り返った。
『んっーーーー』
また唇が触れていた。
ジョージのキスよりも、
荒くて、必死で、長くて、熱い。
もう耐えられないと思ったとき、彼はゆっくり私から離れた。
「拒まないんだな」
自分でも何故そうしなかったのか、わからなかった。
混乱していた。今日はキスの日だっただろうか。
顔が火照って、熱くて、フレッドの顔を見れなかった。
＊
「ごめん、無理やりこんなことして」
自分でも驚くほど、掠れた声だった。
フレッド自身が一番混乱していた。
正直ムカついていた。
ジョージにあんなことをさせて、彼女のあんな表情を見たくなかった。
どろどろとした醜い感情が、
フレッドを衝動的に突き動かした。
それが嫉妬だと、気付きたくはなかった。
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空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
