31話 スニッチに手を伸ばして ページ31
「初試合は負けるわけにはいかないぜ」
フレッドが意気込んだ。
ジョージもめずらしく私に強気になって言った。
「いくらAでも、今回は手加減してやれないな」
『こちらこそ』
私たちは互いに検討を称え合い、その日は夜の悪戯もせず、早くベッドに潜った。
＊
ロッカールームで、選手たちは黙々と深緑の競技用ローブに着替えていた。
ピッチから、観戦にきた生徒たちの湧き上がる興奮の声が聞こえる。
スリザリンのチームメイトは、試合当日も私と口をきかないことを貫き通すつもりらしい。
選手が入場した。
観客は綺麗に真紅と深緑に分かれている。
それぞれのチームに、爆発音のような歓声が送られている。
私は箒の柄をぎゅっと握りしめた。
チームが向かい合い、お互いに闘志をむき出しにして、今にも火花が散りそうだった。
フレッドとジョージが私にウインクをした。
マダムフーチが、両チームのキャプテンに握手するように言った。
もうすぐだ。
箒を構える。
ホイッスルがーーーー鳴った。
私はぐっと地面を踏みしめて、上空に舞い上がった。
《今試合がスタートしました！さっそくジョンソン選手がボールを手にしましたーーー》
リーの実況がグラウンド中に響き渡った。
グリフィンドールがリードし、順調に点を入れていく。
スリザリンは苦戦しているようだ。
私は皆のはるか上空を旋回し、どこかに金色に光るものがないか、目を凝らしていた。
《ニクス選手がウッド選手にわざとブラッジャーをぶつけた！なんて卑怯！ーー下劣でーー》
《ジョーダン！！！》
マクゴナガル先生の怒鳴り声が聞こえた。
しかし、先生もこれにはさすがに憤慨しているようだ。
スリザリンの選手がわざと相手にブラッジャーをぶつけたことは、
同じチームながら反吐が出る思いだ。
私は再び意識をスニッチに集中させた。
そして、
見えた。
私のはるか上空で、金色のスニッチが小さな羽をはばたかせている。
私は急上昇した。
相手のシーカーもそれに気づいて私を追ってきたが、私の方が何秒か早かった。
耳元で風が唸り声をあげた。
ぐんぐん加速していく。
スニッチはもうすぐそこだ。
あと五センチ。
一センチ…
《グレーパー選手がスニッチを
取りましたーーーー！》
さきほどまでグリフィンドールびいきの実況でさんざん叱られていたリーが、
満遍の笑みで私を見つめながら、そう叫んだ。
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空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
