18話 手紙に喜と哀 ページ18
私たち三人はさっきの授業でセブルスが恥をかいたことを思い出して、必死で笑いをこらえた。
『たった今、先生がいかに素晴らしい人間かを話していたところです』
セブルスの目は、これ以上何か言ったらお前の口は二度と開かなくなるぞ、という目だった。
私は慌てて押し黙った。
「無駄口を叩いている暇があるならさっさと次の教室に行きたまえ」
彼は黒いローブを翻してきびきびと去って行った。
「あいつが生徒にお菓子でも配ってなきゃ、あれがいい人間だなんて絶対に信じられないな」
フレッドがしかめっ面で言った。
『それもそうだね』
私は微笑んだ。
彼の本当の優しさを知っているのが私だけなんてもったいない気がしたが、
私だけが彼の秘密を知っていると思うと、なんだか嬉しかった。
＊
翌朝、ふくろうのイザヤが手紙を運んできた。
それはリーマスからだった。
Aへ
ホグワーツでの生活には慣れたかい？
マクゴナガル先生とは親しくしているから、
色々聞いているんだけど、
A、セブルスをからかうのはいけないな。
先生にはきちんと敬意を払いなさい。
それはそうと、
クリスマス休暇はどうするつもりかな？
クリスマスのホグワーツは一層楽しいから
帰りたくはないと思うけど、
どうするか決まったら手紙を書くんだよ。
次に会う時を楽しみに待っているよ。
リーマス
セブルスをからかったことが知られていたとは考えてもみなかったので、私は思わず吹き出してしまった。
正直いってリーマスとセブルスは親しいとは言えない間柄だから、
自分が恥をかいたことがリーマスにしられたらあの人はどんな顔をするか、考えるだけで退屈しのぎになる。
でも、「クリスマスのホグワーツは一層楽しい」だなんて、私はそうは思えなかった。
ここでの生活が楽しいのは、フレッド、ジョージ、セブルスがいるからであって、
私は別にここが好きじゃない。
談話室に戻ればいつも一人で、誰も近づこうともしないし、何もしていなくてもじろじろと見られる。
クリスマスに居残りなんてしたら、家族がいないことをとやかく言われるに違いない。
しかし、フレッドとジョージが残るなら、自分も残ろう。そう思って、私は後で返事を書くことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
