11話 強く眩しい笑顔 ページ11
来ないでほしいといくら願っても、朝は来た。
深緑のカーテンの隙間から、柔らかな朝の光が薄暗く陰湿な部屋を照らし出していた。
ルームメイトは朝食に行ったのか、寝室には私一人きりだった。
空のベッドを見つめながら、今日もまた嫌な一日になるとばかり思っていた私は、その考えをふりはらった。
昨日フレッドが慰めてくれたことを思い出したのだ。
嫌な方に考えてもひどくなる一方に違いない。
そう考え直して、ぴしゃりと自分の頬を叩いた。
泣いたせいで目が腫れていないか鏡で確認すると、私は勢いよく談話室を飛び出した。
談話室の入り口の前で、フレッドとジョージが待ってくれていた。
「お迎えにあがりましたよ、お嬢様」
ジョージがからかうように言った。
『二人とも、昨日は探してくれてありがとう』
私が照れくささに頭を掻いていると、フレッドが待ちきれなかったというように口を開く。
「魔法界の伝説とさえ言われる君でも、可愛く泣くんだな」
『ちょっと、それは言わない約束でしょ...！？』
まだ会って日が浅いというのに、この二人には本当に笑顔にさせられる。
私は素直に、彼らが好きになった。
＊
Aが泣いている姿を見たからといって、フレッドは決して彼女を泣き虫だとは思わなかった。
むしろ、Aは人前で常に笑顔を絶やさない人だった。
ホグワーツに入学して、とうに一週間が過ぎていた。
『見て！』
夕食を食べるために大広間に入ってすぐ、Aは輝かんばかりの満遍の笑みをフレッドとジョージに向けた。
彼女が大きく広げている新聞の一面には、今隣にいる彼女と瓜二つ、眩しいくらいの笑顔が写っていた。
『私、新聞の一面記事なの、ほら！』
Aは嬉しそうに新聞に見入っている。
しかしフレッドは、彼女のふくろうが新聞を落とした時、彼女が目を見開いて一瞬動揺していたのを見逃さなかった。
彼女の写真の上に大きく打ち出された文字は、"A・グレーパーが2年早くホグワーツに入学。呪いが原因か？"と大々的に歌っている。
フレッドがジョージとAと大広間に入って来た時いつもより視線を感じたのは、これが原因だった。
こんなものを見て、誰が満遍の笑みでいられようか。
しかし、目の前の彼女は今もにこにこと新聞を眺めていた。
「良かったな、これで君も人気者だぜ」
ジョージが言った。
彼女はもう一度微笑むと、フレッドたちに手を振って、スリザリンの席へ行ってしまった。
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空 - 短編集の続編ってもうないんですか？面白いので少し寂しいです笑 (2018年7月8日 22時) (
レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
カフェオレ(プロフ) - はじめまして、前作から読んでます！最近は更新がいっぱいで嬉しいです！これからも頑張ってくださいね！ (2018年1月8日 21時) (レス) id: 415ee3fd30 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 侑奈さん» とても嬉しいです！！ありがとうございます、頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - 美南さん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、これからもよろしくお願いいたします！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
イレイ(プロフ) - アーヤさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2017年7月27日 23時) (レス) id: 4b28bb3169 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2016年12月20日 21時
