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何も面白くもない私の昔話を、コネシマは静かに聞いてくれた。私の手の中の指輪を見つめながら。
話し終えた後、そんなに面白くなかったでしょう？と笑えばコネシマは首を振った。
「いんや。ひとつAのことが知れたからえかったわ」
そう笑いながら、コネシマは持っていた缶コーヒーを一気に飲み干した。でも笑顔に少し陰りがあった気がした。でも、私が触れてはいけないような気もして。空き缶となったそれを入り口のゴミ箱に捨てに行く後ろ姿を眺めていた。
＊
腕時計を見ると終電には間に合うものの、そこそこ遅い時間だった。ひょこりと横から腕時計を覗き込んだコネシマが、遅くなってもうたなと呟く。顔を上げると思いの外近い距離だったことに気が付いて少し驚いた。しかし本人は気づく様子もなく直ぐに顔を離す。
「ほんまは駅まで思うとったけど。これなら家まで送るわ」
「え、それだとコネシマ遅くなっちゃうじゃん」
「いーや。俺は最後まで送るって決めたんや」
「え、」
私の静止の声も振り切って、鞄を肩で担ぐようにして持ちながらコネシマは公園から出ていこうとする。此処まで言い切るコネシマはもう止めることは出来ない。でも、もう一度待ってと声を上げると、今度は立ち止まって私を見つめた。
ずっと不思議だった。社内でも心がないと称される程、人や場面によって辛辣さを垣間見せるコネシマ。私だって何度か見かけたことはある。でも、今日のコネシマは全然そんなものを感じさせなかった。
指輪探しに最後まで付き合おうとしてくれたり、人とぶつかりそうになった私を助けてくれたり、こうして家まで送ろうとしてくれたり。
非効率を好まない彼らしくない行動ばかりだった気がした。私には、それが純粋に疑問だった。
だから。
「なんで、…コネシマはそこまで私のためにしてくれるの？」
コネシマは、細めていた瞳を大きく見張った。肩に担いでいた鞄を下ろし視線をそらす。でも答えない。でも、私は知りたい。
視線を向け続けると、コネシマは苛立つ様に前髪を掴みんで小さく、くそと溢した気がした。怒らせて、しまっただろうか。急に後悔が押し寄せて、勢いのまま口を開く。
「ご、めん。やっぱり、い」
「お前やから、」
今度は、コネシマに声を遮られた事に驚きで声を溢す。街頭に照らされたコネシマの頬が少し色付いているようにも見えて、再び彼は言葉を落とした。
「好きな女の為やったら、なんでもしたくなるんが男やろ」
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
