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言葉を、失った。
好きな女って誰。この場には私とコネシマしかいない。そのうちのコネシマがそう言ったのだから、私の事？いやでも、もしかしたら別の誰か。でも、今の文脈の流れだと、これは。
突然小さく吹き出す音がした。いつの間にか下げていた目線を上げると、犬歯を覗かせながら笑っているコネシマが居た。なんで笑ってるんだろうとまた果てしない思考の海に沈みかけた私を引き上げるように、お前が呆けた顔しとるから笑ってもうたわ、と悪気がなさそうな笑みを浮かべた。
呆けたとは失礼な。言い返そうとして、ふと思った。私、告白されたのではと。気づいたら出かかった声が出なくなった。
「えっと…」
さっきまで流暢に昔話をしていたとは思えない程、言葉がつっかえる。なんだか頬も熱い。どうしよう、どうしよう。なんて、視線を泳がせていれば。影が掛かったのがわかった。
気が付いて顔を上げると、ほんと直ぐ近く。例えるなら腕時計を一緒に見てた時のような距離感。さっきは驚いただけだったはずのそれが、今はどうしてだか恥ずかしい。どうしてだろう、と考えて直ぐに気が付いた。
同僚としてのそれが、男女としての認識に変わったからだと。
「ほんまは、もっと後に言おうと思っててん。でも、お前の初恋の男の話を聞いて動揺してもうたんやろな」
気づいたら、口が滑っとったわ。僅かな苦笑いの表情は、口うるさくて騒がしい昼間の彼とは似つかわしくない程、大人びて見えた。
それから目を逸らす様に地面に視線を落とすと、再び三度目の手のひらが頭に乗っかった。でも、そこで止まらず後頭部に回されたと思ったら、次の瞬間私の視界は黒色でいっぱいだった。そこで私はコネシマに触れているのだと気が付いた。
でも抱き締められているわけではない。私を傍へと引き寄せる力は弱くて、頑張ればきっとすぐに解放してくれる。けど。何故か離れようとは思えなかった。
「お前の、初恋の想いを否定しようとは思わん」
素っ気ない、でも温かい声が上から降り積もっていく。けどな、とコネシマは続ける。
「俺の、お前への気持ちも捨てきられんわ」
顔を上げようとすると、予想通り後頭部に回された手のひらは直ぐに離れた。距離感も元通りになる。でも、見上げて合わせた瞳は強かな光を宿していた。
「此れからは遠慮せんからな」
そう云い放った空色。とくり、静かに鼓動が音を刻む。
それは、幼いころに感じた懐かしい、こいのおとだった。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
