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夜の喧騒を潜り抜けながら、ふたり並んで歩く。同僚とはいえ、夜の街を男性と二人で歩くのは不思議な気分だ、と地面を見つめていれば突然肩に回ってきた腕によって体が引き寄せられる。
え、と声を溢して見上げれば「危ないで」と溜息と共に声が落とされる。同時に私が居た位置を男性のグループが通り過ぎていくのが見えた。どうやらぼんやりとしていた私に気が付いて、当たらないように引き寄せてくれたらしい。
腕から解放され、ありがとうと顔を見上げれば、何も言わずぽんと頭に手のひらだけが落ちてくる。数回弾まされたそれは直ぐにスーツのポケットへと入り込んでいった。
「Aの家何処なん？」
「隣町だから、駅まで行かないと」
「そんなら駅まで送るわ」
「え、ちょ」
そう言いながら少し早足で歩いていくコネシマを慌てて追いかける。本当に送る気はあるのだろうかと思いながらも向かう先はしっかり駅に通じる道だ。あの言い方なら、コネシマの家は違う方向なのかもなあと申し訳なさを感じながら、やっぱり夜の道に女ひとりは不安な為ありがたく送ってもらうことにした。
＊
「なぁ、」
駅を目前とした大通りを歩く最中に、コネシマが声をかけてきた。いつもは騒がしいくせに今日はやけに静かだから油断して反応が遅れてしまった。
「え、あ、うん。何？」
顔を向けるとコネシマは、明後日の方向を向いて何か唸り声をあげていた。聞いてきたのに何で口を閉ざす必要があるのかと目線で訴えかけていれば、暫くして溜息をついて顔を向け、でも目線は泳がせながら口を開いた。
「さっきのお守り袋、の中身が気になってしもうて」
「…あぁ、だからずっと黙って考えてたの？」
「や、ちゃうわ！…強ち間違っとらんけど」
「いやどっち」
そういえば大先生と似たような会話してたなんて思い出して突然笑いだす私をコネシマは奇妙なもの見るかのように見つめてきた。それは失礼ではと言い返そうとしたけど、やめた。
お守り袋の中身も、それにまつわる思い出も。語るには年を重ねすぎて恥ずかしさが残る。でも、自分の事のように指輪を探してくれたコネシマなら。お礼代わりに話してもいいかなと思った。
「…あー、やっぱえ、」
「良いよ」
「…は？」
「良いよ、教える。近くに公園があるから、お話しよ！」
断りかけていたその言葉を遮って返答をする。その瞬間のあっけにとられた顔がおかしくて、また笑ってしまった。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
