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「A？」
後ろから呼んだ肩がピクリと跳ねた。それから振り向いた表情に俺は息を呑んだ。冬場は林檎のように仄かに赤らむ頬が、その比にならないぐらい赤く腫れあがっていたから。殴られたなど一目瞭然だった。
「ちょ、どしたんそれ！」
痛々しく腫れるその右頬を手で包み込むように触れた。冬場なのに異様に熱いそれは、見ていた以上にその腫れが酷いことを示していた。
もう一度、どしたんと目線を合わせながら問うも目前の彼女はいつものように微笑んでいるだけだった。それが、どうしようもなく俺を苛立たせた。
大切なコイツを気づ付けた相手にも、何も告げない彼女にも。それから何もしてやれない俺自身にも。
「なぁ、教えてや！ほんまにどうしたんや。誰にやられたん、なあ！」
心配で紡いだ言葉も感情に任せてきつくなる。言葉にしてからその強さに気づいて、すまんと謝ろうとする。けど、それを彼女は口を開くことで遮ってきた。
「…別れたの」
「は、」
別れた、何と。――決まってる。Aと付き合ってたアイツだ。
じゃあ、殴ったんもソイツ？
途端に体を満たすものは激情。ふざけんな、彼氏やからって彼女傷つけて言いわけないやろ。
正直一発、いや三発ぐらいあのいけ好かない顔に拳を入れてやらなきゃ気が済まなかった。
けど、目の前の彼女はそんな俺の様子に気も留めずにまた言葉を紡ぐ。
「私ね、本当は彼の事好きじゃなかったんだ」
「…え」
落とされた事実に俺は、身の内に燻っていた怒りを一瞬忘れた。
好きじゃなかった？嘘や。やって、告白したんはあんさんやろ？
言葉にできない俺の疑問をAは汲み取ったのか、また微かに笑った。「あのね」と言葉を続ける。
「笑ってる顔がね、似てたの」
「…誰と？」
「ロボロと」
呼吸が、止まった。
「だから告白して付き合ったんだけど、…やっぱり違うね。性格も、容姿も。好きなことも苦手なことも」
「でも言い出したのは私だからずっと付き合ってたんだけど、彼に気づかれちゃったみたいで。私が本当は好きじゃない事」
「聞かれたから正直に答えたの。そうしたら殴られちゃった。…申し訳ないこと、しちゃったなあ」
へらり、と彼女は笑う。その腫れた頬なんて気にならない程に、綺麗に笑った。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
