dessert2 ページ2
*
森を抜けると一面に大草原が広がっている
お昼前くらいにはお城につく予定だったけど、国境の門でかなり時間がかかってしまった
持ってきていた荷物も殆ど回収されてしまい少し不思議に思う
あの頃は、なんて思うけど5年も経てばそれくらい変わってても可笑しくないよね
それでも変わらぬこの自然を見ると白尾国に帰ってきたのだと実感する
5年程前、友好国である隣国へ異文化を学ぶために渡ることになった。白尾国より少し小さな国だったものの自然豊かなところは白尾国と変わらなかった
隣国に渡って2年ほど経った頃から白尾国から一切の情報が入らなくなった。初めの方は来ていた彼らからの手紙も来なくなってしまったものだから少し心配しているけど、きっと彼らは忙しいのだろう
私が国を発って暫くした頃から彼らは国王、国王側近の幹部として国に貢献しているのだから
行かないでくれと泣きついてきた彼は今、私との再会をきっと一番喜んでくれるだろう。彼の口に合うかわからないけど、彼のために用意した隣国の甘いお茶菓子を手に馬車を降りる
お茶の時間はしっかり守るようにと私に言った彼はきっと自分のお茶の時間は守っていないことだろう。そういうことろが彼らしい。城についたらまずはティータイムにしようと思いながらスカートの皺をのばす
私が白尾国へ帰るときには歴代一の白尾軍隊長になると意気込んでいた彼は時間を忘れる程訓練に勤しんで、また緑色の席が空席になるのだろう。荷台に積んであったトランクケースを受け取る
外交官として以前から国を留守にすることが多かった彼は今、城に居るのだろうか。居てくれれば彼と隣国の話に花を咲かせることができるだろう。馭者に一礼して城へ続く階段を上る
手紙は必ず返せと何度も私に言った彼は相変わらず今も分厚い本を読みながら片手にティーカップを持っていることだろう。手紙を返さないのはどこの誰だなんて思いながらまた一段と階段を上る
今の時間、アフターヌーンティーの準備をしている彼は幹部になった今でも白衣を着て薬の調合をしているのだろう。彼の作るお茶菓子の味を懐かしく思いながら城門の前へ辿り着く
きっと彼らは喜んでくれるに違いない
私のことを好きだと何度も言ってくれたのだから
私も彼らのことが好きだ
この国が好きだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 390人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
針刺子(プロフ) - ビー玉さん» コメントありがとうございます!!作者も幸せな物語になったらいいなと思っています;) (6月4日 10時) (
レス) id: e62af5f565 (このIDを非表示/違反報告)
ビー玉(プロフ) - すごく好きです！登場人物みんながしあわせになれたらいいなと思います！ (6月3日 22時) (レス) @page11 id: 7a07f59bfb (このIDを非表示/違反報告)
針刺子(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます(^^) (2023年4月4日 9時) (レス) id: e62af5f565 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 針刺子さん» 主ちゃん…でも、そんな可哀想なお話も嫌いじゃない…心痛いけど…この先に幸せがあると信じて進む姿も…あ…でも、もし偽物が本当に本物になったら…とプルプルしちゃいます。無理のないよう頑張ってくださいᕦ(ò_óˇ)ᕤ (2023年4月3日 4時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
針刺子(プロフ) - すみれいんさん» コメントありがとうございます！主ちゃんが可哀想すぎて作者は筆を置こうか迷っています…心痛いですよね><;なんとなく、ほんとになんとなくですが幸せになる気がします、作者は幸せな物語が大好きなので;-) (2023年3月31日 9時) (レス) id: e62af5f565 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：針刺子 | 作成日時：2023年2月28日 13時
