夜空色の君へ【br】 (ページ1)

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彼女はよく、“月みたいな人”だなんて言われていた。

「ぶるーく、早くしないと卒業式始まるぞー」

なんて声が廊下から聞こえてくる。

「今行くよ〜ん」

毎日7時間も授業を受けて、そこから部活、家に帰ったら勉強、夕飯が終わったら夜中まで友達とゲーム。

そんな生活を送っていたら、高校生活2年なんてあっという間だった。

あ、そうだ

ポケットの中から彼女が大切にしていた臙脂色のペンダントを取り出す

Aちゃん、僕たち今日で高校卒業だね＿

高校生活最後の1年は僕にとって、すごく幸せな夢みたいな1年だった。

Aちゃんもそうだったら嬉しいなぁ、

なんて言ったらまた、むすっとした表情を浮かべるのかな…

ふふっ、

自分でも思わず笑みが溢れる

いや、きっと笑ってくれるよ

思ったことが顔に出やすいところは僕そっくりだもん

なんて言葉でしか表せない子だと思ってたけど、

彼女の行動一つ一つはどこを切り取ってもキラキラしていて、本当に眩しい人だった。

何かしなくても見惚れちゃう程美しくて、包みこんでくれるような輝きを持つ女の子。

皆そこを見て“月みたいな人”って言ってたのなら、僕にはちょっと違って見えたのかもね

確かに彼女は月みたいな人だったけど、

僕にとっては“星みたいな人” だった