Knightsアレルギー【あんスタ】

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ぽつん、

廊下に1人取り残された私は今かなり困っている。
いや、かなり所ではない。今まで生きてきた中で1番困っていると言っても過言ではないのではないか。


…いや、嘘ついた。それは過言。
人生で3番目くらい、いや、10番目くらいかな。
まあとりあえずランクインはしないけど、結構切羽詰まっている。


スバルくんなんてもう知らない。明日から無視だ。無視。
「Trickstarの皆が俺の事待ってるから！早く忘れ物とって戻らないと困らせちゃう〜！｣なんて言われたらプロデューサーとして逃がしてあげる他なかった。

明日覚えとけよ。明星スバル。



…まあこんな所で彼に悪態をついても仕方がない。

大丈夫？私。月永先輩に会っても発作起こしたりしない？？これ以上嫌われたら心折れるよ？？？

思い出せ。朔間くんの腕の中にいた感覚を…！あれよりも強い刺激なんてないでしょ？？あんなに推しに近いことなんてそうそうない。…よしよし、大丈夫大丈夫。


ふぅ、と深呼吸をして取り敢えず彼の居そうな場所を考えようとしたが、ひとつも思いつかない。…どこにいるんだろう。



前に1度、Knightsのプロデュースをした事がある。
その時には月永先輩はきちんとレッスン室にいて私に彼を探すという仕事が課せられることはなかった。



…嫌なこと思い出した。Knightsのプロデュース。
あの時は今よりKnightsアレルギーが酷くて本当に吃るだけで終わってしまった。



話しかけられても上手く答えられず、
Knightsが本物の騎士様に見えてしまうくらいには心酔していたのでアドバイスを求められても彼らの期待に添えるようなことは言えなかった。



全てが完璧に見えたから。



完璧だと感じてもそれを更に伸ばして彼らを導くのがプロデューサーだ。
私にはそれが出来なかった。ただただ褒め称えることは誰にでもできる。だからこそそれはプロデューサーの仕事ではない。

あの時よりも経験を積んで成長した今の私ならもっとマシなことが言えるのだろうか。



気分が沈みかけたところで本来の目的を思い出して大きくかぶりを振る。

…月永先輩を探さなくちゃ。あんずちゃんが待ってるしね！！



『でも何処にいるんだろ月永先輩…』




「なんだお前！おれに何か用か！？」




『へ！？！？！？』




目的の人物が私の目の前でぴょこぴょこ動く。

…ちょっと待って。心の準備が出来てないから取り敢えずあと30秒ください。



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