エイトとタマ2 (ページ25)

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タマ争奪戦2 橙さんページ25

橙side

「…丸山くん？」

組み敷かれているのに怯えもしない彼女。

(僕のこと、
…意識さえしてへんの？)

…それなら、と湧き出す僕の感情。

そのまま硬直している僕に、
彼女は言葉を発した。

「…何か悩まれてるんですか？

なんでそんなに、
つらそうな顔…されてるんですか？」

急に不安そうに揺らいだ彼女の瞳。

その瞳にうつる僕は、

(…ほんま、なんて顔しとるんやろ。)

そんな自分の顔を見たくなくて、
彼女の上から退けた。

「丸山くんのそんな顔、

…初めて見ました。

いつも穏やかで優しいのは、

そういう感情を、

すべて内に秘めてるからなんですね。

それって…

(嫌なやつって言いはりたいんでしょう？)

…すごいです。

それが出来る丸山くんは、

本当に、

本当に優しいです。」

思わずタマを見た。

(違う。

大きな勘違いをしてはる。

でも…なんでこんなに

胸のつかえが取れるんやろ。

僕の心をこんなに醜くしたのはキミなんに。

なんでそれを払拭させてくれるんもキミなの？

………ほんとキミには、

敵わへんな。)