エイトとタマ2 (ページ19)

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タマ争奪戦1 黄さんページ19

黄side

今日の仕事は撮影。
俺と章ちゃん、タマの3人。

章ちゃんは先の仕事があるっていうてたから、
今楽屋には多分…タマだけや。

控えめにドアを開けると、

「あれ？」

(おらんやん。)

集合時間にはまだ時間があるんやけど、
タマはかなり早く楽屋入りするから、こんな事は珍しい。

「はぁ…」

(なんや、2人きりやと思ったんに…)

溜息を吐くと同時に楽屋のドアが開いた。

「あ、いらっしゃてたんですね。

お世話になります。」

撮影用の支度をしたタマやった。

「あ、おん。」
拍子抜けした俺。

「急遽自分一人の撮影が増えて、
今終わったとこなんです。」

(今回は…メンズライクなんやな。)

ダボっとした上着に、ストレートパンツ。
伸び掛けの髪は外ハネにセットされている。

10周年を境に、エイターからの希望が多く伸ばしはじめたタマの髪。

そのせいなんか、
ここんとこ撮影いうといつもスカート。

それまでずっと男性的なスタイルやったし、
スカート履いたとこなんて見た事なかったから、
めっちゃ新鮮で可愛いねん。

華奢な体に沿ったワンピース。

綺麗にセットされた髪。

色気が増されたメイク。

(でも…今日の格好も)

「似合っとるよ。」

俺の言葉に嬉しそうに微笑む彼女。

今まで何度も、

誘おう思って声掛けるんやけど、
いざ彼女を目の当たりにすると、肝心な事が言えへん。

他の女性なら全然平気なんやで？

いくらだって誘える。

…みんな喜んでついてきてくれる。

でも、相手がタマとなると、
途端に自分が臆病になんねん。

こんなにすきやねんで？

(ほんまに、ほんまに…)

「すきなんや。」

彼女を前にして、

溢れ出すように、
思わず言葉に出てしまった。