【d】ぎすmemoGS 5thシーズン【中編番外】 (ページ10)

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＊ページ10

「……なにジロジロ見てるの」
「疲れてるからか。おまえが優しいように感じる」

……なんで疲れた時しか恋人の優しさ認識できないんだこいつ。そんなんだから悪魔とか言われるんだぞ。

「……いや、私いつも優しいし」

心の中で悪態をついていたせいで反応が遅れた。
それと、なんで付き合ったんだってぐらい、滅多に甘やかされないので、ちょっと小っ恥ずかしくて目を合わせられなくなる。
すると次の瞬間、寝ていたはずのグルッペンが勢いよく体を起こす気配がした。
何かと思い視線を戻してみると、彼は胡座をかいたまま下を向き、片手で頭を抑えている。

頭痛かな、と思って口を開きかけた、その時、

「……あかん。かわいい」

疲弊を露わにした吐息とともに色っぽく吐き出された「かわいい」という褒め言葉に、陳腐な表現を使うとすれば、キュンとした。
だめ、ときめかないで。この人は遊戯王のモンスターをかわいいと思う感性してるんだから、同じ扱いを受けて腹が立たないはず、ないのに、待って、うるさい、心臓の音。こんなの聞かれたら。

「んー、ちょーっとその顔は反則じゃないすかね、Aさん」
「うるさい」

照れくさく居心地悪く笑ってるグルッペンの反応がめちゃくちゃ生々しかった。
赤くなってるその頬が、まるで自分を見てるみたいでより一層顔に熱が集まる。心の置き場に困るというか、初心な雰囲気に体がむずむずして私はベッドから立ち上がった。

「つ、疲れてるんだから早く寝なよ？じゃあおやす────」

パシリと掴まれた左手首から熱は感じられなかった。彼と同じぐらいに、私の体温は、

「寝ようぜ」

思考すら遮られるほどの確固として口調。いつの間にか魂の据わった瞳になっていた彼は、別の感情に心を支配されたかのような力強さで私をベッドの中に引き込んだ。