【d】ぎすmemoGS 5thシーズン【中編番外】 (ページ2)

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な？と微笑んだ大先生の憎たらしい顔が思い出されて眉を顰めた。
もちろん最初は断ったが、「給仕からチョコレートを受け取った彼の顔が寂しそうだった」などと言われてしまうとこちらとしてもバツが悪い。

あれでいてわりと繊細だからなぁ……

大先生の発言が事実か否かはさておき、このまま渡さなければ少なからずご機嫌は悪くなるんだろう。

でも「これ大先生にもらった如何わしい薬入りチョコ！」つって渡せっていうのか？いやいやいや、難易度高すぎる。忘れてたのバレバレだし後で何十倍返しをされるに決まってる。あ、手作りって言えばいいのか。この手のパッケージなんてその辺にあるし。
トントンがガチのマジで本気になってしまったら…………まあバレンタインだし相手でもしてやればいい。よし、そうと決まれば商品シール剥がさないとな。

と、そうして、赤いパッケージの裏に発見したシールを痕が残らぬように丁寧に剥いていく。

「“xxx”って、いかにもだな」

原材料名に記載されたあからさまに如何わしい名称。さしずめこれがチョコの商品名だろう。

“xxx”

キスマークだったりハードポルノの略号だったりと広義的に扱われている昨今だが、思い当たるのはどれもこれも浮ついた意味ばかり。
まさかそんなものを自分が使うことになるとは思わなかったために恥ずかしさが心をくすぐる。私はそんな恥ずかしさをため息とともに誤魔化して、部屋をあとにした。