錯乱、錯覚、錯誤、…… ページ36
「却説」
通りに出るなり、にやついた笑みを浮かべる太宰さん。其の表情で察する。
「……若しかして、入るタイミング窺ってました?」
んふふ、と謎めいた笑いをこぼす。
「嫌ぁ、嬉しい事云って呉れたねえ?『私の好きな人は、太ざ――』」
「うわあああ!一寸黙って、って云うか忘れて下さい!」
恥ずかしい。無かった事にしたい。
気持ちを知られて仕舞ったら、
きっと、元の関係では居られないから。
.
「私は忘れたく無いのだけれど」
.
……え?
思わず歩みを止める。
「好きだよ、A」
刹那、ぎゅっと抱き締められる。太宰さんの腕の中に居る間隔。
人が見てるとか、店の前だとか、そういうのは意識から吹き飛んだ。
先程とは違う種類の鼓動の加速。
頬が熱くて仕方が無い。
私は、太宰さんの背中に両腕を回す。
.
――嗚呼、こうして居ると、
修治さんを思い出すなあ――
.
其処まで考えてから、私は、其の考えがどれだけ恐ろしいかに気が付いた。
今、直ぐに此の腕の中から出なければ、とも思った。
.
私は、
私の恋心は、
太宰さんを、修治さんの代わりにして居るだけなのかもしれない――
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夕野きする(プロフ) - 響華さん» アドバイスいただきありがとうございます!わかりました、工夫してみます。 (2018年3月11日 21時) (レス) id: d7453fd818 (このIDを非表示/違反報告)
響華 - もう少し行の間隔を空けたらいかがでしょうか? (2017年12月18日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
桃生このか - 秋さん» そうなんですね!お恥ずかしい話、未だ読んでいないのです…これは学校の図書室開き次第読まねば(笑) (2017年9月2日 23時) (レス) id: cc90327189 (このIDを非表示/違反報告)
秋 - ツケの話、ヴィヨンの妻のどこかにあったなぁ (2017年9月1日 21時) (レス) id: 45418c19fc (このIDを非表示/違反報告)
R - 確かにそうですね! (2017年8月27日 13時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃生このか | 作者ホームページ:http://http://commu.nosv.org/p/asubook/
作成日時:2017年8月19日 0時